5話 ページ5
最近感じる視線は紛れもなく、九瓏先生からのモノで…
それが最近、違う視線を感じる。
長い前髪の間から伺えば、しばらくしてその犯人は分かった。
1人はクラスの人気者、神生アキラ。
1人は鬼の風紀委員長、泉奏。
泉君は1年の時同じクラスで、少し面識があるが…
神生君は会話もしたことのないただのクラスメイト。
どうして学園の…いや、世間の人気者である3人から、毎日探るような視線を浴びなければならないのか…
思い当ることがないわけではないが…
九瓏先生が2人にあの日の事を話したとは到底考えられない。
ジッと様子を伺われるのはあまり気のいいものでないけど、今更そんな事を気にするような人生は送ってきていない。
今日も感じる視線を受け流しながら、帰りの身支度を整えた。
その時、とんとんと机が叩かれる。
顔を上げれば、クラスでも目立つ存在の女子達。
「地味子ちゃんさー、今週の掃除当番代わってー?」
きつい香水の匂いが鼻をつく。
気が付かれないように鼻を覆うと、了承の意味を込めて頷いた。
「ありがとー。じゃ、よろしくね!」
感謝の気持ちなど込められていない言葉を吐きながら、賑やかに教室を出て行く。
鞄を再度机の横にかけると黙って席を立った。
この時彼女たちの後を追いかけていた人物がいたとは思いもしなかった。
掃除ロッカーの扉を開けて箒を取り出そうと手を伸ばす。
「A!!」
大声で名前を呼ばれ、びくりと方が揺れた。
そろりと振り返ると、赤い髪の彼が先ほど出て行った女子達を連れて戻っている。
黙ったまま固まっている私の元へずんずんと歩み寄ってくる迫力に思わず後ずさった。
赤「お前、先週も掃除当番だっただろ!?」
「ね、アキラどうしたの?」
連れ戻された女子達は苦笑いで神生君を見つめる。
赤「何でAに掃除当番代わってもらったんだ?」
「え?えっとそれは…」
神生君の問いに口ごもる彼女。
「地味子ちゃんが代わるって言ってんだし、いいんじゃないの?」
後ろに控えていた女子達が加勢だとばかりに口を開いた。
「そっそうだよ。変わってくれるって言ったのは地味子だし。」
赤「Aはそれでいいのか!?」
くるっとこちらを向いた彼に、コクンと頷く。
今私が望むのは、クラスにいる全員の視線から外れたい、揉め事など起こさないでほしい。という事だけ。
しかしさらに聞こえた声に、私の望みは淡く砕けた。
「掃除当番を交代してもらう場合、正当な理由が必要です。」
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炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時