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「かみさま！あれなに！おっきい！」
「あぁ、あれは東京タワーだよ。正式名称は日本電波塔……って、それはどうでも良いか」
「にっぽ？」
「日本電波塔」
「にっぽでんとう！」
「【ん】と【ぱ】が消えてるなぁ」
それでも、隣を歩きながら色んな物を指差して僕に聞いてくるAを見ていると、少しだけ肩に入っていた力が抜けていく。ちゃんと手を繋いでいる。それだけで少しこの状況にも安心できた。
やって来たのは、マンションから二駅ほど挟んだ所にある、先日リニューアルしたという大型ショッピングモール。
流石東京と言うべきか。普段の僕ならば絶対に近づかないであろう人の密集具合に、思わず口から「うわっ」という本音が飛び出す。
そんな僕の隣では、初めてこんなにも高い建物を目の当たりにしたというように、そのまま後ろへひっくり返りそうな程天を見上げるA。
小さな口はぽっかりと開いていて、大きな瞳をパチクリと瞬かせている。ほんとに、反応がなにもかも新鮮だな。
「……ここ、はいるの？」
「そうだよ。まさか平日でもこんなに人が居るとは思わなかったけど」
「……」
「……A、どうしたの。怖い？」
建物の入り口まで歩いていったところで、Aの歩みが突如として止まる。僕の手を握る力も強くなって徐に振り返ると、彼女は不安げに眉を下げて、僕を見つめていた。
……恐らく彼女は、両親以外の人間は怖くないのだと思う。その証拠に、傷だらけの状態で初めて僕に話しかけられたときも、泣き叫んだりとか喚き散らしたりはしなかった。
けれどこの不特定多数の人間が居る場では、両親以外の人間【しか】居ないという確証は持てない。
もしかしたらあの二人が居るかもしれない、もしかしたら見つかるかもしれない、もしかしたら―――今度こそ、殺されるかもしれない。
「……ぱぱ、と、まま……いない……？」
前も言ったように、彼女の中に自分が可哀想だとか、あの境遇が普通ではなかったという概念は無いのだと思う。
あの日僕が彼女を見つけるその瞬間まで、僕なんかでは想像も出来ない程の劣悪な環境が、Aの中の普通だったんだと思う。
だけどあの決して広いとは言えないマンションの一室で、彼女は少しずつ変わっていた。
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白菜(プロフ) - ひとみ。さん» 誤字のご報告ありがとうございます！早急に訂正させて頂きました！ここから更に面白くなる(予定)ので、是非楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年10月9日 23時) (
レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ。 - いつも更新ありがとうございます！毎日楽しみに読ませていただいてます！ページ40の所で、『丸分かり』が『丸和かり』になっています...！これからの展開が楽しみです...！まだまだ気が抜けないこの時期ですが、お体にお気をつけください！長文失礼しました。 (2020年10月9日 19時) (レス) id: 807ddee245 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 千由里さん» ありがとうございます！まさかの一番テンションが高い作品の後でこちらに足を運んでくださったんですか(笑)寒暖差による体調不良にはくれぐれもお気をつけください。これからもゆっくりではありますが頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2020年10月8日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
千由里 - 白菜さんの小説いつも楽しみにしています。「放送禁止用語連発系女子」をみてきたので落差が激しいです。でもとても現実的でギリギリなのでとても楽しみにしています。これからも頑張ってください。 (2020年10月7日 18時) (レス) id: 57238377df (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - なおさん» 初めてのコメントありがとうございます！毎回楽しみにしていただけているなんて本当に嬉しいです。これからも過去最高を更新していけるように頑張りますので、どうぞお付き合い頂ければ幸いです！ (2020年10月7日 16時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
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