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「それはひらがな練習するやつね」
「ひらがな……」
「Aって名前、自分で書いてみたいでしょ」
「……かみさまの」
「え？」
「かみさまの、おなまえも、かける？」
まさか僕の名前も書けるかなんて聞かれるとは思っておらず、一瞬言葉に詰まる。だけどすぐに詰まっていた言葉が喉を通るようになり、自然と浮かんだ笑みと共に、言葉がスルスルと出てくる。
「……書けるよ。Aが頑張ったら、神様の名前だって、Aが好きなふりかけの名前だって、なんだって」
「っじゃあ、Aいっぱいがんばる！がんばって、かみさまのおなまえ、かくの！」
「うん。楽しみにしてるよ」
すっかり勉強に対して意欲を出し始めたAと、まずは【かんざき】というひらがなの練習を始める。
最初っから濁点が居るのは少々ややこしくもなりそうだが、聞き馴染みがある単語の方がAとしても覚えやすいだろう。
うっすらと書かれた【か】に沿って、6Bの鉛筆が柔らかい線を描いていく。
鉛筆の持ち方を時々直してあげながら、今度は【ん】。下がって上がって下がって上がってという動作に苦戦を強いられてはいたが、初め見た字よりは、何倍も読めるものになっていた。
「これ、Aみたい」
「……【ざ】？なんで？」
「さみしがりやなの」
「……だから点々がある、ってこと？」
「うん」
「じゃあ、神様には寂しがり屋は居ないね」
子どもだからこその発想力というか、なんというか。【ざ】は他と違って寂しがり屋だから点々も一緒だ、そしてそれが自分と似ている、なんて発想が浮かんでくるのは恐らく幼い子のみの特権だろう。
その発想を聞いて、つい【かわむらたくや】という名前に濁音が無いことを悲しんでしまったのは、出来ればツッコまないで頂きたい。
「か、あ、う、ら！かけた！」
「かわむら、ね」
「あう？」
「わむ」
「わう！」
「うーん、可愛いから許す」
―――穏やかな雰囲気の流れる昼下がり。電源の入っていないテレビには、二人して一冊のドリルを覗き込む姿が、ぼんやりと写っていた。
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白菜(プロフ) - ひとみ。さん» 誤字のご報告ありがとうございます！早急に訂正させて頂きました！ここから更に面白くなる(予定)ので、是非楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年10月9日 23時) (
レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ。 - いつも更新ありがとうございます！毎日楽しみに読ませていただいてます！ページ40の所で、『丸分かり』が『丸和かり』になっています...！これからの展開が楽しみです...！まだまだ気が抜けないこの時期ですが、お体にお気をつけください！長文失礼しました。 (2020年10月9日 19時) (レス) id: 807ddee245 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 千由里さん» ありがとうございます！まさかの一番テンションが高い作品の後でこちらに足を運んでくださったんですか(笑)寒暖差による体調不良にはくれぐれもお気をつけください。これからもゆっくりではありますが頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2020年10月8日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
千由里 - 白菜さんの小説いつも楽しみにしています。「放送禁止用語連発系女子」をみてきたので落差が激しいです。でもとても現実的でギリギリなのでとても楽しみにしています。これからも頑張ってください。 (2020年10月7日 18時) (レス) id: 57238377df (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - なおさん» 初めてのコメントありがとうございます！毎回楽しみにしていただけているなんて本当に嬉しいです。これからも過去最高を更新していけるように頑張りますので、どうぞお付き合い頂ければ幸いです！ (2020年10月7日 16時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
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