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「かみさま、かみさま」
「ん？」
「かみさま、わるいひとなの？」
「……そうだよ。もしかしたら、いつかお腹が空いてAを食べちゃうかも」
「えー！たべちゃやだー！！」
がおー、と指先を曲げて爪を表現して見せれば、Aはやだやだと首を振る。じゃあ良い子にしてなきゃね、と言うとすぐに彼女は「A！いいこにする！」と声高らかに僕の前で宣言をした。
テレビでは八歳と報道されていたけれど、こんな風になんでも真に受けてしまうところを見ている僕からすれば、とてもそうは思えない。
普通の子より小柄で細い彼女はまだ保育園に通っていると言われても、多少の違和感はあるかもしれないが、なんら不思議はなかった。
それほどまでに幼いのだ。言動も、容姿も、喋り方も。まるで、園児の頃から時が止まっているように。
≪―――お願いします、Aを、うちの娘を見つけてください……っ≫
ふといつもの癖で彼女の頭に手を伸ばしかけた、その時。テレビの向こう側から震えた声が流れてきて、思わず指先が硬直してしまう。
涙ぐんだ声へ引き寄せられるようにして視線がテレビへと移る。
大きめの画面には、Aの母親らしき人物がハンカチを握った姿で写っていた。しっかりと化粧をしていて、画面越しでも分かるほどに髪に艶がある。
泣いている。確かに泣いている。頬を伝っているあれは間違いなく涙だ。だけど、違う。
―――あの母親は、Aの身を案じてなんか、いない。
≪あの子は、我が家の大切な一人娘なんです。右目に傷がある子です。どうか皆様、ご協力お願いします≫
母親にあっていたカメラのフォーカスが、隣で見切れていたスーツ姿の男性に移る。あれが、Aの父親。
Aの両親の姿を初めてこの目に収めたときの感想は、どことなく似ている、だった。眉毛を八の字にする姿とか、大きて真ん丸な瞳とか、口を開いたときに覗く八重歯とか。彼女の影が重なる瞬間が必ずあって、その度に言い様のない罪悪感が芽生える。
≪警察は、誘拐の線も視野に入れて調査を≫
そして、分かってしまった。何故Aを愛していない筈の両親が、こうも娘の存在を公にして熱心に捜索を行っているのか。
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白菜(プロフ) - ひとみ。さん» 誤字のご報告ありがとうございます！早急に訂正させて頂きました！ここから更に面白くなる(予定)ので、是非楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2020年10月9日 23時) (
レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ。 - いつも更新ありがとうございます！毎日楽しみに読ませていただいてます！ページ40の所で、『丸分かり』が『丸和かり』になっています...！これからの展開が楽しみです...！まだまだ気が抜けないこの時期ですが、お体にお気をつけください！長文失礼しました。 (2020年10月9日 19時) (レス) id: 807ddee245 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 千由里さん» ありがとうございます！まさかの一番テンションが高い作品の後でこちらに足を運んでくださったんですか(笑)寒暖差による体調不良にはくれぐれもお気をつけください。これからもゆっくりではありますが頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2020年10月8日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
千由里 - 白菜さんの小説いつも楽しみにしています。「放送禁止用語連発系女子」をみてきたので落差が激しいです。でもとても現実的でギリギリなのでとても楽しみにしています。これからも頑張ってください。 (2020年10月7日 18時) (レス) id: 57238377df (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - なおさん» 初めてのコメントありがとうございます！毎回楽しみにしていただけているなんて本当に嬉しいです。これからも過去最高を更新していけるように頑張りますので、どうぞお付き合い頂ければ幸いです！ (2020年10月7日 16時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
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