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「あー、藍沢来てからの救命空気悪すぎ。

だから俺は反対したんだよ、あいつ戻すこと」


「あんた、大賛成だったじゃん」


「そうだっけ?」


「まぁでも、白石の生真面目もどうかと思うよ。

フェローなんて罵倒されて育つんだからさ」


『藤川みたいに?』


「びっくりした。あんた、いたの?」



一足先に医局に戻っていた私は以前より相談されていた

橘先生と三井先生の息子である優輔くんのカルテを見ていた。



『でも、私たちがフェローの時ってあんな感じだった?』


「Aは最初からよくできたフェローだったよな」


「少なくともあんたよりは皆出来たわよ」


「お前な…」


「ともかく、藍沢なんてほっとけばいいのよ」


「じゃあ、お前うまくやるように言えよ」


「どっちに?」


『そうよ、どっちに…?』



美帆の後押しをするように続けようとすると

勢いよく医局のドアが開く。



「だからもう少し言い方があるんじゃないのって言ってるの。

あんな言い方して横峯さんが辞めるって言ったら

どうするの?」


「あの程度で辞めるなら早い方がいい」


「フェローは大事に育てなくちゃいけないの」



2人の言い争いから逃げるように

美帆と藤川が背を向ける。



「うちの人手不足を解消するには

彼らを一人前に育てる必要があるの」


「それで治療が遅れたらどうする。

あいつらを指導していたせいで

患者が死にました、って説明するのか」


「じゃあ初めから優秀な若手を連れてきてよ。

できないでしょ?

救命は今のメンバーでベストを尽くすしかないの。

とにかく、その人を突き放すような言い方をやめて」


「俺は頼まれて救命に来ただけだ」


「はぁ…。そうね、頼んだ私がバカだった。

1週間前の私に言ってやりたいわ。

あの性格の悪い医者はやめとけって。

そうよ、ああいう人だった」



バン!と恵がファイルを置いた音が

医局に大きく響いた。


思わず肩を震わすけど、

恵の元へ寄って肩を叩く。



『ごめんね、恵…。なにもできなくて』


「ううん。

Aはいつも助けてくれるじゃない」


『…、何かあったら言って?

私も恵の力になりたい』


「ありがとう、A」



私の力が少しでも恵の役に立つなら

喜んでなんでもしよう。


それが私の役割だと思うから。

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まお(プロフ) - なーなさん» いつもコメント、本当にありがとうございます(^^)頑張ります。また、いらしてください。 (2018年8月14日 12時) (レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)
なーな(プロフ) - 今回もおもしろいです!他の小説もあって大変かもしれませんが頑張ってください!応援しています! (2018年8月14日 11時) (レス) id: a9b248562d (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - ゆうのんさん» コメントありがとうございます。過去についてはおいおい出てくるかも…?気長にお待ちください(^^) (2018年8月13日 23時) (レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうのん - わかりました!夢主の過去を知りたいです♪♪♪ (2018年8月13日 23時) (レス) id: 33a38ce979 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 蜜柑さん» コメントありがとうございます(^^)無事、移行できました。また、いらしてください。 (2018年8月13日 22時) (レス) id: a4581f7272 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まお | 作成日時:2018年8月13日 17時

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