光2

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医局に戻ると橘先生がいて

その机には水鉄砲が置かれていた。



『今日使った水鉄砲ですか？

楽しそうでしたね、みんな』


「そうなんだよ。楽しいって言うんだ、あいつが。

一歩も車椅子から立ち上がれないのに、

水も触らせてもらえないのに。

僕は十分楽しいよ、って。Aも聞いただろ。

親よりも子供の方が強いな」


『…、そうですよ。

子供は子供なりに親に心配かけさせたくないんです。

私もそうでした』


「…、小児がんだったか」


『はい。どんなに痛くても、苦しくても

私が泣いたら親が心配する、そう思っていました。

私も優輔くんと同じです。

はるかにも心配をかけさせたくありませんでした』


「それは今もだろ」



少し笑って橘先生が言う。



『そうですね。では、お先です』


「あぁ。お疲れ」



医局を出るとそこには美帆が立っていた。



『…、美帆』


「今のどういうこと？」



美帆は少し眉間にしわを寄せながら聞いてくる。



『…、またゆっくり話すよ。美帆にも恵にも』


「…、絶対？」


『うん。絶対』


「待ってるから」


『…、ごめんね』



じゃあね、と言って私はロッカーに向かった。

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