Story.8 ページ9
翌日。何故か私は相澤先生と飲んでいた。
というのも、私が仕事納めの為出勤をして、帰りにフラッと居酒屋に立ち寄り飲んでいると、偶然相澤先生と居合わせたのである。
幸い先生はこちらに気づいて無さそうだとスルーしようとしたところ、ギリギリのところで見つかって一緒に飲むことになったのである。
ゆっくり会って話すのは久々で。私は昨日轟くんと知り合って話をしたことも含めて相澤先生と沢山話した。
……だが、今日の酔い方は、よくない。
「……昔、先生も親友を亡くしたって仰ってましたよね。逃げ出した私を本当は軽蔑してるんじゃないですか？」
「……おい、榎本。飲みすぎだ、酔ってるだろう。」
「……あの時のことは未だに夢に見るんです。……その度にあの子が……あの子はきっと私を恨んで怒ってるじゃないかって……膝を抱えながら泣くんです。
……私なんか、庇わなければ良かったって思ってるんじゃないかって。庇わなければ私が死んで、あの子はヒーローになって、きっと沢山人を助けてたでしょう？
……助けられた私には逃げる資格なんてなかったって、分かっているんですよ。
それでも……私、死にたくない……死ぬのは怖い……。」
「飲み過ぎだ、榎本。今日はもう帰れ」
「助ける勇気もないくせに、助けられるのが怖いの、私。
……だから彼氏にも振られるんだわ」
普段はひた隠しにしているトラウマをベラベラと喋っても、酒によってよく回るようになった舌は止まらない。周りも見えない。
……元々、相澤先生の待ち合わせ相手だった轟くんが合流して、先生と共に私の話を聞いていることに気づかないほどに酔っていた。
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作者名：近藤。
| 作成日時：2021年5月28日 2時
