Story.4 ページ5
その日の夜中は乾物をつまみにビールを煽るように飲んでいた。
すると、玄関のチャイムがなった。
こんな時間に来るような友達なんて私にはいない。……不審に思ったが、そんなことは気にせずに玄関のドアを開ける……と、悪寒。
己の直感に任せて部屋の中の柱の影に身を隠すと、途端に轟いた銃声で、一瞬で私の住居が蜂の巣になった。
……直近で、私がこんなのに狙われる心当たりは1つしかない。
昼間、私を人質にした一派の残党だ。
ストーカーかよ、なんて敵のねちっこさにため息をつきながら、目の前を見ると一ヶ月前に買い換えたばかりの高い冷蔵庫が銃弾の雨に撃たれて漏電している。
私の30万円…………。ヒーローでもなんでもないOLにとっての30万円がどれほど価値のあるものか。
プツリ、と何かが切れる音がして、私はその辺にあったフライパンを手に持つと、銃弾を避けながら的に近づいて、フライパンで敵の頭をぶん殴った。
3人組の敵のうちの1人をフライパンで殴り、もう1人を蹴りながら3人目にフライパンを投げつける。
ちなみに、フライパンは500円の安物だ。
フライパンの威力に負けて地面に伏した敵の睾丸を踏みつけながら、傘を敵の顔の横の地面に突き刺す。
ビキッと廊下に亀裂が走り、突き刺さった傘を見ながら敵が小さく悲鳴をあげた。
「どう落とし前つけてくれるんだコラ。OL舐めんじゃねーぞ」
すると、誰かが地面に降り立った音がした。反射的に、持っていた傘の先端を音の方へ向けると……見覚えのある顔。
「ショート……。」
「……。」
後ほど話を聞いたところ、近所の人が銃声についての通報をしてくれていたらしく、駆けつけてくれたヒーローが彼だったらしく。
「……汚いですけど上がっていきます？」
画面越しに一目惚れをしていたはずの彼は、実際に見るとびっくりするほどイケメンだったが、画面越しの時ほどドキドキしなかったのは内緒である。
……そんなどうでもいい話は置いておいて、状況を呑み込めずポカンとしている彼を、蜂の巣となった自宅へと招き入れた。
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作者名：近藤。
| 作成日時：2021年5月28日 2時
