最後の審判2【ワールドトリガー】

Story.34 ページ36

『司令部、こちら木崎。
狙撃班位置についた』

『こちら当真。
同じく準備完了』

『こちら櫻。準備完了』

『来ました……！トリオン兵です……！』


屋上で待ち構えていると、ゲートが開いて出てきたのは大量の人型トリオン兵だった。

狙撃班が迎撃を開始する中、私は屋上から戦況を眺めて状況把握をする。


『忍田さん、こちら櫻。
数が多いわね。何体出てくるかは知らないけど、この人型はコストが高そうね。最大100体ってとこかしら。

3〜4体で連携してシールド貼ってくるわ。小癪ね。
ある意味ラービッドよりも厄介かも』

『そうか』

『ただ、私のサイドエフェクト使えば問題なく狩れるわね。一旦艇の方に人員多めに回して大丈夫。
それから、念の為屋上にもオールラウンダーかアタッカーをつけて。

スナイパーは数人周囲警戒に回してください』

『了解』


私は忍田さんにひとしきりの報告をすると、屋上の縁に足を掛けた。
横では連携して人型トリオン兵を撃ち抜いている当真や半崎、奈良坂がいる。

「当真、あの人型私がやるわ。
アンタ達周囲警戒にあたって」

「おいおいAちゃん、すっげぇ数来てるぞ1人で大丈夫か」

「人の知能もない有象無象のトリオン兵になんて、何体相手しても負ける気しないわ。万一の時は当真がカバーしてくれるでしょ？

……徹甲弾(ギムレット)」

私は屋上から飛び降りながら、アステロイド同士を合成してギムレットにし、宙に浮かせる。

そして、その徹甲弾を100分割レベルまで細かく分割した。

ぐっと力を入れてサイドエフェクトでトリオン濃度を高める。

限界まで密度が上がったトリオンキューブが黒く染まった。

そうして私の放った弾が、分割なしのレベルの速さで次々とトリオン兵の張るシールドに当たり、穴を開けて貫通する。

……百発百中とはいかないものの、充分であろう。

前から攻めてきていた人型トリオン兵は、一瞬で3分の1以下に減り、さらには無傷なものに至ってはほとんど居なかった。

屋上のスナイパーの仕事も、地上組の仕事もこれで随分楽になるだろう。


「相変わらず派手ですね」

「あっ、木虎、久しぶり元気？」

「敵が侵攻してきているのに気の抜けた返事やめてください」

「私はだいぶ仕事したでしょ。
正面防衛はこれでOKって事にして迅に頼まれてることあるからそっちを見てくるわ」

「ほんと、迅さんに甘いですよね」

「……まあね」

私は前線を離れて玉狛の基地に向かったのである。

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