最後の審判2【ワールドトリガー】

Story.28 ページ29

「さてと……」

個人ランク戦の転送前の控え室でトリガーセットを組み替える。

まあ、組み替えるとはいえ仮想戦闘空間の中だけであり、実際のトリガーは組み替えてないのだけれど。


ときに、私はボーダーに入った当初は緑川や遊真と戦闘スタイルが似た身軽アタッカーだったのだ。

迅がスコーピオンを開発してからはスコーピオンを使い、グラスホッパーとスパイダーで空間を広く使って敵を撹乱するスタイル。

身長145cm体重37kgの子供体型。
痩せ型で、今の双葉より少し背が高いぐらいだったのである。

そんな子供が入隊直後の戦闘訓練でバムスターを拳で殴り倒したのだから、それは上層部も驚くだろう。

しかし、当初145cmとかなり小柄だった身長がボーダーに入って1年半ほど経った頃メキメキと伸び、現在162cm。


伸びたと言っても緑川より少し大きいぐらいの背しかないのだが、その数cmが身軽さという点では生死を分ける。

それに、中学生男子の緑川と20歳の私では、似た身長でも体重が数キロ違うのだ。


その為、ボーダー内での遠征や成績を狙い続けていた私は、身長が伸び始めて155cmを越した時点でグラスホッパーやワイヤーを使うのをやめ、更にはスコーピオンから孤月に持ち替えたという経緯があった。

とはいえ、短いスコーピオンに慣れていると長物は扱いづらく、結局孤月を刃渡り15cmの短刀にカスタムして今に至る。

それにその頃には打月もあったので、そこから再び身軽スタイルに戻ることはなかった。

つまり、アタッカーとして現在のスタイルに変えたあと、グラスホッパーやスパイダーと併用した経験は、ない。


だが、あの時から状況が色々と変化した今、私がどう足掻いても遠征は確定事項だし、アタッカー武器以外にも私に扱えるものが増えた。

メインウェポンはもはやシューターだし、スナイパーとしても十分な実力が身についた。

つまり、かつての私の強みが現在のアタッカーに通用するのか試してみるいいタイミングだ。


「遊真にもグラスホッパーの使い方、見せてあげるって言っちゃったしね……」

そんな独り言を言いながらウキウキとトリガーセットを組み替えた。


柄にもなく、浮き足立っているらしい。


程なくして、準備が終わると、身体がフワッと浮く感覚がして転送が完了した。



【トリガーセット】

main
・孤月(短刀)
・スパイダー
・カメレオン
・シールド

sub
・孤月(短刀)
・スコーピオン
・グラスホッパー
・旋空

補足(時系列)→←Story.27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す