最後の審判2【ワールドトリガー】

Story.27 ページ28

「荒船、こっちいるの珍しいじゃない。
1戦やってく？」

「Aさん、オレよりもコイツの相手してやってくださいよ。空閑の対策したいらしいので」


鋼と荒船と合流すると、更にそこに緑川と遊真もいたらしい。珍しい組み合わせだと思いながら、荒船に声を掛けた。

「遊真の対策？遊真が目の前にいるんだから遊真とやればいいじゃない」

そう言って遊真を指さすと遊真が笑いながら言う。

「おれもそう言ったんだが、しゅんとあらふねさんに止められた」

「止められた？あー、ネタばらししてないの？
……たしかに、手の内は隠しておいた方がいいけど、経験も積んで欲しいしねぇ……。

よし、栞ちゃんとか小南に怒られるだろうけど私が盾になってあげるわ。遊真、10本だけね。鋼もそれでいい？」

「オレは構わないですよ」

そうすると、少し慌てた米屋が私に尋ねる。

「ちょっとAちゃん、ホントに空閑を鋼さんとやらせていいの？」

「いいわ。遠征先で未知のサイドエフェクト相手に戦わなきゃいけなくなるかもしれないから。予行演習よ。

さぁ遊真、ボコボコにされてきなさい」

「サクラ先輩がそこまで言うのも珍しいね。燃えてきた」

こうして村上鋼と空閑遊真の10本勝負が行われることになった。
その際に、鋼が遊真に条件をだす。

10本勝負のうち5本が終わったタイミングで15分の休憩を挟むことだ。



……村上鋼、彼のサイドエフェクトは強化睡眠記憶。

経験の全てを睡眠により記憶し、自分のものにできる能力である。

周りの人間が遊真と鋼が戦うのを止める中、私がGOサインを出した頃、オサムもその場に合流した。

そうこうしているうちに試合が始まり……結果は4:6
後半5本を鋼が連取し、鋼の勝ちとなった。



*


試合終了後、私は遊真が戻ってくるまでの間に軽くストレッチをした。

トリオン体であれば、筋肉への負荷という意味ではストレッチは不要だが、戦闘をするとなるとやはりした方が機敏に動ける気がする。

「……遊真、今の試合を受けてのアドバイス等々は玉狛でやるわ。

その代わり、身体の使い方。グラスホッパーの使い方。スコーピオンの使い方。お手本を見せてあげる。

鋼、私とも10本。遊真と同じ条件で。」

「光栄です、今日こそ勝ち越しますよ」

「……サイドエフェクト使っていい？」

「……！勿論です！」


言い忘れていたが、私も本気を出さないと負けるかもしれない相手、村上鋼はボーダーNo.4アタッカーである。

Story.28→←Story.26

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す