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Story.16 ページ17

「雷蔵、また太った?」

エンジニア室に着いて一言目、会う度に体格が良くなっている気がするチーフエンジニアに声をかける。

寺島雷蔵だ。

彼はエンジニアとしての腕は超1級で、いつもトリガーいじりに没頭している。

そして、没頭の片手間にハンバーガーやピザやスナック菓子などジャンキーなものばかり食べるから入隊した当初よりも随分と恰幅が良くなった。


その雷蔵は、ポリポリと頭をかいて私の言葉を聞き流すと、私にトリガーを手渡す。

ヒュースのトリガー、蝶の楯(ランビリス)である。


「表面と中身の解析は終わったんだけど実際起動するのは無理っぽいんだよ。ヒュースの角と情報連携してるからヒュース以外の起動が難しい」

「そんなことだろうと思ったわ」

時に、私は遠征後に持ち帰ったトリガー解析中にもよくエンジニア室に呼ばれる。

トリガーの中には生体認証のような機能を持っている物も少なくなく、そういう時には私のサイドエフェクトを使ってトリガーの生体認証機能をハッキングする。

ブラックトリガーに関しては生体認証とかいう次元の話ではないので不可能だが、それ以外のトリガーはサイドエフェクトで強制的に起動することができるのである。

一旦太刀川隊トリガーを切った後で、ランビリスにサイドエフェクトでトリオンを流し込みながら、

「トリガー起動」


そういうと、私のトリオン体が切り替わる。

「ふーん、面白いわねこのトリガー」


トリガーが起動した時に、真っ先に思い浮かんだのは侵攻してきたヒュースが私たちに向かってトリガーを使う姿だ。

アレを思い出しながら、見様見真似で磁力のある欠片を浮かせて飛ばす。

カッカッカッカと子気味良い音ともに、とある机の上に障害物を避けて刺さった。

障害物とは、黒いラッドである。


攻撃された瞬間、そのラッドが奇声を上げる。
なんでラッドが喋るんだ。


「な〜んでエンジニア室にラッドが鎮座してるの?
しかもなんで黒いの?なんで角生えてんの?なんで喋るの?知能があるの危なくない?……殺すわよ?」

「「待て待て待て」」



私がランビリスで作ったブレードの切っ先をラッドに向けると、慌てたラッドが仰け反り、雷蔵が私とラッドの間に立ち塞がった。

「貴重な情報源を殺そうとするなよ!
……紹介する、エネドラだ。

……エネドラ、コイツは櫻だ。……あまり刺激するなよ、殺られるぞ」

「……おう」


雷蔵に紹介されたラッドが、よっと軽く足を上げた。

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近藤。(プロフ) - 甲賀忍者さん» コメントありがとうございます。根が優しいけどひねくれ者を書きたかったので伝わっているようで何よりです!ヒュースの面倒も迅から押し付けられる予定なので……。楽しみにしておいて下さい! (2022年7月1日 22時) (レス) @page23 id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 失礼します。作品読ませていただきました。主ちゃんの指揮、指導、後輩達への厳しい中にある優しさに虜になりました。正に一騎当千 目上の人にもズバズバ言う所が好きです。彼女にヒュースが誰よりも懐くとSEが言っている…上層部も上級隊員も私も主大好きす! (2022年6月28日 4時) (レス) id: 75f75dc2eb (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 竜胆さん» コメントありがとうございます!難しい所ですね。でも迅も大人だったらさらっと流してると思うんですよね、暴言。結局、大人として戦ってる主も迅も大人になりきれてないのだと思います。お互い様ですね笑 そんな中、皆が支え合って助け合える世界であれと願っています (2022年3月28日 15時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ゆうさん» 返信遅くなりすみません、コメントありがとうございます!私生活が多忙でなかなか更新できませんが、できる限りでがんばりますね!! (2022年3月28日 15時) (レス) @page16 id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - しょうがないんじゃないかなと感じてしまいました。避難するわけではないですけど、迅も迅で夢主のことをもう少し考えてやれば良いのにと思ってしまいました。大人って難しいですね。長々とすみません。これからも頑張ってください。 (2022年3月27日 11時) (レス) id: b5d562abb3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:近藤。 | 作成日時:2021年7月12日 17時

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