Story.9 ページ10
羊皮紙をくべる時、こんなことを心の中で全力で念じていた。
何かしら召喚できれば手を抜いた判定にはらなず、実力不足で円満退学が可能だろうと思ったのだ。
……なんやかんやで退学への希望は捨てられないまま、火にくべた羊皮紙の煙が形を変え、現れたのはまさに、でかい“念子”だった。
つやつやの黒い毛並みに、真っ赤で切れ長の目。
大きくあくびをして、伸びをするその姿、まさしく
「……！念子だ！！」
わたしが割と大声でそんなことを言うと、
「ウガルルムだ！念子と一緒にするんじゃない！！」
と大声でツッコミが入る。ツッコミを入れてきたのはカエルゴ卿だ。
キレッキレのツッコミがあまり面白くなくて、わたしは口を尖らせて反抗する。
目立ちたくない……というのも一応本心ではあるが、わたしは反抗期の一環で引きこもりをやっているだけであって人見知りなどでは断じてない。
人間不信なのも事実だが、目の前の人間とコミュニケーションが取れるかどうかは別問題だ。
それに加え、大人に正論をぶつけられる事をこの頃一番面白くないと思っているまである。
無理やりバビルスに入れられた今、怖いものなど何も無い。
バビルスのハイランクの教師であろうと、反抗するなんて朝飯前だ。
「……念子ってことでいいじゃないですか。大まかに分けると魔生物としてのジャンルは同じでしょ」
「Eクラスの魔生物とSクラスの魔物を同列にするな馬鹿者！」
ウガルルムはでかい念子……もとい、人間界でいうライオンである。
もっとも、人間界のライオンと比べて5倍以上大きく、鳥の足を持ち、たてがみは燃えていて火を吹くけれど。
ウガルルムはわたしと目が合うと、こちらに歩いてきてわたしの頬に擦り寄る。
燃えているたてがみは熱くなく、ポカポカしている。当たった毛がくすぐったい。
うん。やっぱりただの念子である。大差ない、多分。
「ほらぁ、念子じゃないですか。かわいい〜」
わたしがそう言うと、汚物を見るような目で見られた。
偉そうな大人、本当に気に食わない上に、なんならちょっと態度が大人げない。
「話の通じんアホか……、まあいい。次！アスモデウス！」
そんなわけでわたしの召喚は終わった。
その後、イルマくんが使い魔としてカエルゴ卿を召喚し、場が大騒ぎに。
わたしはその様子を見てざまあみろと大笑いしながら、人間には自分の印の入った物は渡すまいと心に決めたのであった。
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あまね(プロフ) - 待ってます👊 (5月8日 19時) (
レス) @page15 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 琉愛（るあ）さん» お久しぶりです、いつも読んでいただいてありがとうございます！頑張って書きますね！ (2月10日 15時) (レス) @page6 id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
琉愛（るあ）(プロフ) - 近藤。さん新作ありがとうございます！！近藤。さんの作品はいつもいつもとても素晴らしいものなので今回の作品もめちゃくちゃ楽しみにしてます！！！ (2月10日 14時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2024年2月9日 1時
