Story.6 ページ7
わたしがイルマくんと握手を交わしていると、理事長室の扉がバァンと大きな音を立てて開く。
そして、ズカズカと入ってきたのは、真っ白な制服に身を包んだ青年……もとい、入試首席。
パッとイルマくんから手を離し、そいつの方をみると、彼は真っ直ぐにイルマくんの目の前までやってきて、ひざまづいた。
「……は？」
わたしの口から素っ頓狂な声が出る。
「先の決闘、あれだけ自分に有利な状況での敗北にもはや文句のつけ様もありません！！
加えてこの身を医務室まで運んでくださったとのこと、このアスモデウス言葉にできぬ程感激致しました！
敗者は勝者に従属するのが悪魔の習わし！
よって！この身全てを捧げ入間様の学園統治に尽力致します！早速新入生全員を配下に収めましょう！」
ドン引きしているイルマくんを横目に、ペラペラと満面の笑み笑顔で話す目の前の悪魔は、昔の知り合いだ……が、わたしの知っている奴はにこりとも笑わない堅物野郎だったはずだ。
彼はアスモデウス・アリス。現13冠のアスモデウス・アマリリス様の息子で貴族。
……つまり、貴族同士として社交の場で何度か会って会話しているのだ。わたしが引きこもりになる前の話だけど。
優秀でプライドが高く、この世の全てが退屈とでも言わんばかりの仏頂面だったアスモデウスがこんな満面の笑みを浮かべる現場に遭遇するとは。
誰だこれは。寒気がした。
「……何してんの？おまえ」
そいつ、ただの人間だぞ。なんで決闘で負けてんだ。
腐っても貴族の有力悪魔だろうおまえ。
なんて、口には出さないけれど、精一杯の侮辱を込めた目でアスモデウスを見下すと、
「ブルクハルト！？貴様も新入生だったのか」
なんて。私のことなど目に入っていなかったらしい。普通にムカつく。
「はぁ〜、わたしのことなんて興味もないですよねそうですか。
ん？……つまり引きこもりの成果でわたしの存在が社交界で薄くなってるってこと？」
「何を言っているんだ、貴様の父上は社交の場では相変わらず貴様の話ばかりしているぞ。耳にタコができるほど聞いた。よほど優秀らしいな」
「なっ……、引きこもってる間に世間の認識が悪い方向に変わってる……。
何故」
「……まあ、どう転んでもブルクハルトは目立つだろう」
ブルクハルト家は商家だ。
商人にとって、商品が欲しいと思わせる、商人側の見た目も重要だ。
つまり、ブルクハルト家は一族揃ってとんでもなく見栄えがよく、目立ちまくるのである。
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あまね(プロフ) - 待ってます👊 (5月8日 19時) (
レス) @page15 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 琉愛（るあ）さん» お久しぶりです、いつも読んでいただいてありがとうございます！頑張って書きますね！ (2月10日 15時) (レス) @page6 id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
琉愛（るあ）(プロフ) - 近藤。さん新作ありがとうございます！！近藤。さんの作品はいつもいつもとても素晴らしいものなので今回の作品もめちゃくちゃ楽しみにしてます！！！ (2月10日 14時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2024年2月9日 1時
