Story.5 ページ6
わたしは元人間だ。
悪魔と交わした契約の内容も、誰と契約したのかも、なぜ魔界に魂が来ることになったのかも分からないが、人間という魔界では伝説級に捉えられているものが存在することを知っている。
まあこのことは、パパすら知らないはずのトップシークレットだが、ブルクハルト家当主のパパが知っていて言わないだけなのか、本当に知らないのかは分からない。
だから、目の前の人間を珍獣を見るような目で見ることも無かったのだが、それが更にわたしが“視ていた”という事実に拍車をかけた。最悪だ。
「Aくん、君にはイルマくんと仲良くして欲しいんだ」
「嫌です!わたし、退学します!ひっそり暮らします!」
「……サリバン家の最重要機密を知った君を、
「ぐっ……、だからお互い知らないことにすれば幸せだったじゃないですか……。第一、わたしも悪魔ですよ?
この人間を取って食わない保証なんてないじゃないですか!
危ないですよ!わたしを傍に置くのは!」
「君、イルマくんに危害を加えるつもりなの?」
サリバン様がわたしに向ける圧が一瞬殺気に代わり、クラっとした。パワハラ反対である。この理事長、今この場においては孫のことしか見えてない。
逆らうと、死ぬ。
「はぁ……。まあ……この先悪魔と彼が仲良くできるか分からないでしょうから普通に見守るぐらいならやりますよ。
ただ、守ったりとか面倒ごとに巻き込まれたりとか四六時中一緒にいたりとかはごめんですからね!
面倒ごとにはもう巻き込まれてますけど……!」
「驚いた、サリバン様の殺気に当てられてケロッとしてるとは。お嬢さん、大物になりますね」
「なりません」
「さあて、君、特に大した問題を起こしたわけではないんだけど、本人の許可も取れたしアブノーマルクラスに行ってもらいます」
「……ひょっとしなくてもパパがわたしをアブノーマルクラスに入れるように言いました?」
「うん。本人の許可が取れたらねって」
「許可というか脅迫……。まあ、というわけだから、仲良く……は違うな、うん、よろしくイルマくん」
「あっ、うん、よろしく」
そんなわけで、わたしのアブノーマルクラス行きが決定してしまったのである。
さらば、平凡な学校生活。そんなことを思いながら、イルマくんと握手を交わした。
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あまね(プロフ) - 待ってます👊 (5月8日 19時) (レス) @page15 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 琉愛(るあ)さん» お久しぶりです、いつも読んでいただいてありがとうございます!頑張って書きますね! (2月10日 15時) (レス) @page6 id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
琉愛(るあ)(プロフ) - 近藤。さん新作ありがとうございます!!近藤。さんの作品はいつもいつもとても素晴らしいものなので今回の作品もめちゃくちゃ楽しみにしてます!!! (2月10日 14時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:近藤。 | 作成日時:2024年2月9日 1時