Story.3 ページ4
「……ふぅー。よし、入学式、サボろう!」
わたしは逃げ込んだ茂みに寝転んで昼寝を始めた。
入学式?そもそもバビルスにだって来たくてきたわけじゃないし、退学にでもなれば万々歳である。
……まあ、悪魔学校をさぼりごときで退学になるなんてことはないだろうけど。
何時間かたった頃、式が終わったらしく、渋々人混みに紛れて帰路につこうとする。
早く家に帰りたい。
すると、中庭が何やらギャーギャーとうるさい。
「おい、特待生のイルマと首席のアスモデウスが決闘するらしいぞ」
「特待生ってあれか?サリバン様の孫とかいう……」
なんて、道行く悪魔が話している。
チラッと見えた中庭に、小柄な少年と改造制服らしきものを着ているド派手な青年が1人。
決闘あれか、馬鹿だなぁ、だなんて考えながら通り過ぎようとした時、勝手にわたしの目が小柄な少年を捉える。
“人間”
なんて、ありえない情報が見えて、わたしは思わず目をかっぴらいて中庭を囲んでいる手すりに飛び乗った。
疲れ目で狂ったのかと思っていたわたしの家系魔術はあまりに正確だった。
しかも、残念なことにわたしはわたしが思っているより対処が冷静だった。叫び出しても良いぐらいの内容なのに。
叫び出したくなる言葉をグッと飲み込んで、考える。
仮に“人間”の彼がサリバン様の孫だとしたら、わたしが特待生として入学できてしまった理由に説明がついてしまう。
いくら巧妙に魔術やアイテムで人間であることを秘匿しようとも、ブルクハルトの目はごまかせない。
……ごまかせないことが分かっているサリバン様が、逆にブルクハルトをあの人間の味方に取り込もうとパパに声をかけ、無事わたしはパパに売られたのだろう。
危険分子は監視の目の届く場所に置いておく方がよいから。
「か……帰ろ、不登校になろ……」
フラフラとその場を離れようとした時、校内放送がかかる。
『ブルクハルト・A。至急
悪魔は序列社会だ。ランクの高い悪魔には逆らえない。
そんな中、サリバン様にわたしごときが逆らえるはずもなく。
最悪な悪魔の呼び声がかかり、わたしは渋々理事長室へ足を運んだのである。
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あまね(プロフ) - 待ってます👊 (5月8日 19時) (レス) @page15 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 琉愛(るあ)さん» お久しぶりです、いつも読んでいただいてありがとうございます!頑張って書きますね! (2月10日 15時) (レス) @page6 id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
琉愛(るあ)(プロフ) - 近藤。さん新作ありがとうございます!!近藤。さんの作品はいつもいつもとても素晴らしいものなので今回の作品もめちゃくちゃ楽しみにしてます!!! (2月10日 14時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:近藤。 | 作成日時:2024年2月9日 1時