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Story.12 ページ13

学校の裏手にある谷の中に”金剪(かなきり)の谷“と言われる場所がある。

そこには巨大な鳥が住んでおり、その辺の悪魔では太刀打ちできないほど強い。

金剪の長の羽根は質がよく丈夫な素材で、武器としても装飾としても人気がある。
……パパがどこからか仕入れてくるので実家で売っているのだが、まさかこの巨大な鳥とも取引をしているのだろうか。

まあ、今はそんなことはどうでもいい。


わたしはイルマくんの付近であぐらをかいてふよふよ浮くように飛んだ。

「イルマくーん。どういう状況?
帰るならわたし運ぶけど」

「ブルクハルトさん!長さんの子供が怪我してたみたいで手当したところなんだ!
僕らを乗せて行ってくれるって!」


ブンブンと笑顔で手を振るイルマくんは心配するまでもなく無事そうである。
思わず呆れ顔でため息をつく。なにをどうやったら金剪の長に頭を下げられるようなことが発生するのか。

「はぁ……。あー、じゃあわたしの手要らないね。先行く」

一件落着。金剪の谷で金剪の長と一緒にいて、危険にさらされることは無いだろう。

くるっと向きを変えてゴールの方を向いたわたしに、イルマくんが声をかけた。

「えっ、一緒に……」
「んー、いいや。ひとりで飛んだ方が速い」

そして、翼をいっそう大きく広げると、思い切り羽ばたく。

ブルクハルト自慢の翼はただ見た目がいいだけではない。

商家として今の地位を築けたのは、魔術に長け、飛ぶのが早く、物理的にも力を持っており、戦争が沢山起こっていた時代でも、死人が大勢出ているような戦場のど真ん中に物資を運んで売ってきたからだ。

荒くれ者たちにすら平等に購入の機会を与え、我々を騙し、金も払わず奪い取ろうとする者たちにはそれ相応の制裁を。

この魔界で物を売るということは、ブルクハルト家に高価なものが集まっている状況を誰もが知った状態になる。

時に、逃げ足も大事。

飛ぶのが早くなくてはお話にならない。


それに、寄り道をしてしまったが、カエルゴ先生に目をつけられたい訳でもないので無難な順位でゴールしたい。

遅れた分を取り戻せるぐらいの力はきっと持っている。

少しだけ本気を出さないとやばいかもしれないけれど。


「フラクタル」


フラクタルとは重量調整をする魔術だ。
風に煽られないギリギリの所まで体重を軽くして、飛ぶ。



そうしてあっという間にその場を離れ、ゴールに向かうと、アスモデウスと緑の髪の女の子が既にゴールしていた。

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あまね(プロフ) - 待ってます👊 (5月8日 19時) (レス) @page15 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 琉愛(るあ)さん» お久しぶりです、いつも読んでいただいてありがとうございます!頑張って書きますね! (2月10日 15時) (レス) @page6 id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
琉愛(るあ)(プロフ) - 近藤。さん新作ありがとうございます!!近藤。さんの作品はいつもいつもとても素晴らしいものなので今回の作品もめちゃくちゃ楽しみにしてます!!! (2月10日 14時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:近藤。 | 作成日時:2024年2月9日 1時

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