Story.10 ページ11
数日後、正式にアブノーマルクラスに決まったとの通知があり、わたしは険しい山道を登っていた。
アブノーマルクラスの教室へ行くためである。
アブノーマルクラスは一般の教室から隔離されており、言ってしまえばプレハブ小屋並の教育環境である。
到着したドアのクラス名の書かれたプレートは傾き、ドアは朽ち、壁はひび割れ、ツタが張っていた。
「汚〜い。嫌なんだけど、ここに少なくとも1年は通わないといけないの？」
ブツブツと文句を言いながら扉を開けると、目の前には刃先。
……大量の武器がこちらへ飛んできたのである。
幸い、わたしに当たりそうなのは槍1本。目の前。
眼前に迫った切っ先を見るなり、わたしは刃をバシッと掴んで、止めた。
刃物を持った手のひらが切れて手首を血が伝う。
そのまま、わたしはくるっと槍を回し柄を持ちながら、部屋の中に居る悪魔たちを“視た”
敵意は無い。だが、これをわたしに投げた相手は、
「おまえか」
金髪の背の低い男の悪魔。
見るからに調子に乗っている表情にイラつきながら、わたしは持ち替えた槍を思い切りぶん投げた。
わたしに投げられた槍は一直線にその悪魔の頬スレスレを通り過ぎ、後ろの壁を
割れることも無く、槍の通った跡だけがぽっかり穴となって空いた壁を見て男子生徒が青ざめる。
ブルクハルト家、家訓
商人たるもの、
欺く者には徹底的に嘘と罰を。
害なす者には徹底的に報復を。
槍をわたしがぶん投げた直後、教室がワッと言う歓声で湧き、中にいた悪魔たちがわたしに話しかけてきた。
「投げ返したー！すげー！！」
「壁に穴空いたぞ、どんな威力してんだよ」
正直、武器が目の前に見えた瞬間は暗殺かと思った。投げ返す直前に我に返ったから良かったけど、もしも気づくのが遅くいつもの反射でやり返してたら1人か2人殺してた。
まあ、殺される程度の悪魔なら殺してもいいと思うけど。
危ない危ないと思いながら、寄ってきた悪魔たちを全員無視して適当に席に着くと、彼らもわたしに興味をなくしたらしく、次に来る悪魔に同じものを仕掛けるために準備を始めた。
悪魔の興味が継続する時間なんてそんなものだ。
わたしも武器が飛んできたことがどうでもよくなって、手の傷を治すのも忘れたまま机に突っ伏した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - 待ってます👊 (5月8日 19時) (
レス) @page15 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 琉愛（るあ）さん» お久しぶりです、いつも読んでいただいてありがとうございます！頑張って書きますね！ (2月10日 15時) (レス) @page6 id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
琉愛（るあ）(プロフ) - 近藤。さん新作ありがとうございます！！近藤。さんの作品はいつもいつもとても素晴らしいものなので今回の作品もめちゃくちゃ楽しみにしてます！！！ (2月10日 14時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：近藤。
| 作成日時：2024年2月9日 1時
