Episode.6 ページ7
鬼ごっこは完全に敦君たちの劣勢だった。
始まるや否や、潤一郎が捕まり部屋に引きずり込まれる。
もう少し上手くやってくれるものだと思っていたが、敦くんはまだ捕まっていないしもう少し様子を見てから手を貸そう、なんて呑気に考えていた。
それより私が気になっていたのは無精髭のおっさんの方だった。この状況を見てビビるどころか目が座っている。
……場馴れしてるな、何者なのだろう。
それが私が感じた第一印象だった。
ほどなくして鍵までが偽物だったと分かり敦くんの心が折れる音が聞こえた気がした。
逃げ出そうと外に出るドアノブに手をかけようとした敦くんの前に足を出して転ばせる。
転けた敦くんは顔面からドアに突っ込んだ。
この世界に来て感じたことがある。
この世界の人間の基礎的な身体能力と、私の元々いた世界での人間の基礎的な身体能力では差がある。
全体的に私のいた世界の人間の方が優れている。そう感じる部分は多かった。
だが一方で、異能力と呼ばれる能力に関しては私たちの世界で“個性”と呼ばれているものより数段強力であった。
もちろん異能力もピンキリだ。それでも私の個性とて、元いた世界では勝ち組の部類に入るのだろうが、異能力と比べると霞む。少なくとも、異能空間なんて物を作り出すことが出来る個性の人間になんて私は会ったことがなかった。
……だからどうということも無いけれど。“個性”と“異能力”はやはり別物。それが私の立てた仮説の中で、今のところいちばん有力だった。
モンゴメリは言った。
「この部屋の物は傷つけたり壊したり出来ないようになっている。」
その仕組みが
個性と異能力。似てるようで違うその2つのものは互いに干渉できる。つまり、私はこの空間そのものを個性で壊せることになる。
……試してみる価値はあるだろう。
私はスっと立ち上がるとモンゴメリの方へ向かって歩いた。
「あら、ようやくアンの相手をしてくれる気になって？逃げ出すのかと思っていたわ。」
余裕の笑みを浮かべてそんなことを言ってきた彼女に冷えきった目を向けると少したじろぐ。
「この能力で、この戦い方で、負けたことがないんだね、貴方。
今すぐ人質を解放すれば許してあげる。」
そんな私の言葉を聞いて鼻で笑った彼女を横目に私は皆が囚われている扉へと駆け出した。
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近藤。(プロフ) - ハコ28さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けて嬉しいです！続きも頑張りますので楽しみにしていてください！ (2023年5月4日 21時) (
レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - もるさん» コメントありがとうございます！頑張って更新しますね！！ (2023年5月4日 21時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
ハコ28 - とても面白かったです❗続きを待ってます。 (2023年5月4日 20時) (レス) id: 4a04534ded (このIDを非表示/違反報告)
もる(プロフ) - めちゃめちゃに面白い作品見つけちゃいました...更新頑張ってください！応援してます！ (2023年5月3日 1時) (レス) @page29 id: 20d746374a (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - エルマさん» コメントありがとうございます…！1年ぐらい更新止まってたのに待っていただいてありがとうございました！たくさん更新したので是非楽しんでください！これからもよろしくお願いします！ (2023年4月25日 18時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2019年6月18日 19時
