Story.25 ページ33
「……私が兄貴と一緒に行けば、壊理を解放してくれますか。」
「……」
「資料を見た。私の個性も、人の個性を壊せる。私が働けば兄貴の望む世界が叶う。そうでしょう？
それなら、私が居れば壊理は要らないはずでしょ。」
「理解ができないな、お前も壊理も俺の物だ。
2人とも俺の計画には必要だ。連れていく。」
力が、足りなかった。圧倒的に。
壊理を連れたミリオ先輩達が行った通路に兄貴が足を向ける。
私は自分自身を再構築して傷を治したが、戦意はとうに尽きてしまっていた。
高い壁だった。
すると、ミリオ先輩に壊理を託した緑谷とサーが戻ってきた。が、兄の方が何手も上だった。
サーの身体が貫かれる。緑谷が傷を負う。
その様子を、情けないと思いつつも一歩も動けずに見ている私がいた。
そんな私を現実に引き戻したのは、
「おまえのせいでまた死ぬぞ！これが望みなのか！？
壊理！！」
そんな兄の言葉と、
「望んでない……！」
そういいながら戦場へ戻ってきた壊理だった。
自分だって死ぬほど辛い思いをしてきたはずなのに、圧倒的な恐怖を目の前に助けの求め方を知らない。
その姿はかつての自分そのものだ。けれど違ったのは、助けられるどころかその小さな身体で人を助けようとするその心だった。
人を恨む事しか出来ない心の壊れた人間にはならないで。
このままではこの子の心が壊れてしまう。
ヒーローになることを決めたあの日に考えたことが頭の中に浮かんできた。
……壊理は、壊れてなんていない。この先も壊れない。私とは違って優しい子だ。こんな子を、兄貴の……ヴィランの思う通りにはさせない。
気がついた、私は治崎廻という人物を自身の兄だという目でしか見ることができていなかったことを。
目の前で、私たちに立ちふさがる彼は、兄である前に、紛れもないヴィランであることを。
そう思うと気持ちが吹っ切れた。
治崎の個性で巻き上げられた壊理が治崎に捕まった。それを助けようと手を伸ばす緑谷。けれど、その手は届かない。
今、私に出来ることは。
プツリ、と何かが切れる音がした気がした。
それは私が治崎のことを怖がって無意識にかけてしまっていた私の個性のリミッター。
「緑谷ァァァ！！歯ァ食いしばれ！！」
地面に人差し指1本で触れ、壊理を抱える治崎の足場を壊し、緑谷の足場を創った。
タガが外れた私の個性は、圧倒的に治崎のそれより優っていた。
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ニナ(プロフ) - サーが死ぬところガチ泣きしました。ありがとうございます (2021年3月15日 20時) (
レス) id: fec159ffdc (このIDを非表示/違反報告)
Ama(プロフ) - ほんとに泣きました、アニメ見て泣いたのですが、本当に良かったです、！！小説？書くのとてもお上手ですね！！ほんとにここまで泣いたの初めてです、 (2021年1月8日 3時) (レス) id: 06070d74b0 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» いえいえ！！細かいところまで読んでくれてるんだなーって嬉しかったです！！これからもよろしくおねがいしますね！！ (2019年1月28日 1時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 近藤。さん» ごめんなさい！原作しっかり読んでませんでした……完全に早とちりです……本当にすみません!! (2019年1月28日 1時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» すみません、バブルガールやサーの事務所のメンバーがミリオンと呼んでいるのはわざとです。15巻辺りを読み返していただければ原作でもそう呼んでいる描写がありますので見てみてください！ご指摘ありがとうございました！ (2019年1月28日 0時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2018年11月30日 12時
