Story.24 ページ32
私はミリオ先輩に触れ、傷を治した。
その時にすぐに気がついた。ミリオ先輩の個性因子が壊れてなくなってしまっていることに。
けれど、その話題には触れなかった。悔しそうに唇を噛み締めているミリオ先輩の表情から全てを読み取れた気がしたから。
目の前には唖然としている壊理がいた。その目には徐々に涙が溜まる。
「A…………おねえちゃん……」
小さい声でそう呟いた壊理の小さな頭をくしゃっと撫でて、しゃがみこんで目線を合わせて笑いかける。
「もう大丈夫、だから泣かないで。遅くなってごめんね。助けに来たよ。」
そんなことをしていると、近くの壁が壊れた。やって来たのは緑谷とサーだ。
「治崎さん！！先輩！！」
「……緑谷！壊理とミリオ先輩を連れて逃げて！！サーも！！逃げてください！
壊理！！行って！！」
私は地面に両手を付きありったけの力で地下中を再構築した。
地下はコンクリートで出来ていた。雄英高校に入学してこのかた、鍛え、使い、武器としてきたコンクリートだ。
壊理の、緑谷の、ミリオ先輩の、サーの、逃げ道をつくる。
バキバキと兄貴によって再構築された地面が迫ってくる。兄の部下である音本を分解し、取り込んだ兄の力は肥大化していた。
それに対抗するように、私は地面を壊し続けた。
壊して砂になった地面を再び地面に構築しなおし、兄貴に向けて攻撃する。
兄より個性の発動条件が厳しい私が自分自身を治す余裕は無かった。
ついた傷から血が吹き出して意識が朦朧としてくる。兄弟だからといって兄から一切の容赦はなかった。
それでも、私はその場に立ち続けた。
皆が無事であるように。そう願いながら。
それが、私なりの全てのケジメのつけ方だった。
どんなに足掻いても努力をしても、同じように努力をし続けていた兄を私は超えることなどできていなかった。
年季が、生きてきた年齢の差がそのまま実力の差となって私に牙を向いた。
「……ヒーローになるなんて、浅い夢は終わったかA。お前も病気だよ。今まで絶望ばかりを見てきたお前が夢を見るのは許されることじゃない。
帰って来い。お前の病気は俺が治してやる。
A、お前の個性は病気を壊すためにあるんだ。」
私が動けなくなった頃、私の目の前に立った兄貴が私に向かってそう言って手を差し伸べた。
マスク越しでも分かった。その兄の表情は、私を孤児院から連れ出した時と同じだった。
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ニナ(プロフ) - サーが死ぬところガチ泣きしました。ありがとうございます (2021年3月15日 20時) (
レス) id: fec159ffdc (このIDを非表示/違反報告)
Ama(プロフ) - ほんとに泣きました、アニメ見て泣いたのですが、本当に良かったです、！！小説？書くのとてもお上手ですね！！ほんとにここまで泣いたの初めてです、 (2021年1月8日 3時) (レス) id: 06070d74b0 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» いえいえ！！細かいところまで読んでくれてるんだなーって嬉しかったです！！これからもよろしくおねがいしますね！！ (2019年1月28日 1時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 近藤。さん» ごめんなさい！原作しっかり読んでませんでした……完全に早とちりです……本当にすみません!! (2019年1月28日 1時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» すみません、バブルガールやサーの事務所のメンバーがミリオンと呼んでいるのはわざとです。15巻辺りを読み返していただければ原作でもそう呼んでいる描写がありますので見てみてください！ご指摘ありがとうございました！ (2019年1月28日 0時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2018年11月30日 12時
