Story.22 ページ30
パラパラとめくっていった資料は見ていて気持ちのいいものではない。
それでも、兄は天才だった。
人の身体から個性因子を取り出し、銃弾に詰め、更には人の身体に作用させて個性因子同士を反応させ、銃弾を撃ち込まれた相手の個性因子を傷つけ、壊す。
そのとんでもない理想を彼は自らの手で実現させてしまった。
書き殴られた大量の計算式と理論。度重なる実験。
この実験の数が壊理の傷ついた、傷つけられた数なのだと。そう考えるとゾッとしたが、それにしても正気の沙汰ではないと思えるほどのその資料の多さが、兄の努力の結晶だった。
そして唐突に気が付いた。……自分自身が兄の説く理論の理解に追いついていることを。
その時、真っ白いファイルだけが並んでいる思っていたその視界の隅に1冊だけ真っ黒なファイルがあるのを見つけた。
吸い寄せられるように、私は何も考えないままそのファイルに手を伸ばし、棚から抜き取る。
“
そんなタイトルの付けられたそのファイルは、壊理の実験ファイルと比べて紙が少し劣化し黄色くなっていた。
中に書かれている文字もまだ幼かった。そんな昔に兄は何を考えていたのか。
文字を読み進めていくと、そこに書かれていたのは、
「……あいつの個性は“分解再構築”なんて可愛いものじゃない。“破壊と創生”。
万物を理解し、壊し、創る。
この個性は病気を治すことができる個性だ……。
……これ、まさか……私の…………。」
“破壊と創生”
その文字が私の頭に焼き付いた。それは“分解再構築”なんかよりも数段しっくりくる、今までの私の個性の使い方と同じだった。
慌ててページをめくっていくとそこに書かれていたのは“私の個性が”個性因子を壊し、創るための理論だった。
個性は病気だ。
あの日……私の個性が発現したあの日に兄が言った言葉を思い出した。兄が個性の使い方を私に一つ一つ教えてくれた幼いころの記憶を思い出した。
あの頃から兄は本気で私と
それが……その資料が間接的に私に告げたのは、壊理が兄に切り刻まれていたのは私のせいだということだった。
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ニナ(プロフ) - サーが死ぬところガチ泣きしました。ありがとうございます (2021年3月15日 20時) (
レス) id: fec159ffdc (このIDを非表示/違反報告)
Ama(プロフ) - ほんとに泣きました、アニメ見て泣いたのですが、本当に良かったです、！！小説？書くのとてもお上手ですね！！ほんとにここまで泣いたの初めてです、 (2021年1月8日 3時) (レス) id: 06070d74b0 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» いえいえ！！細かいところまで読んでくれてるんだなーって嬉しかったです！！これからもよろしくおねがいしますね！！ (2019年1月28日 1時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 近藤。さん» ごめんなさい！原作しっかり読んでませんでした……完全に早とちりです……本当にすみません!! (2019年1月28日 1時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» すみません、バブルガールやサーの事務所のメンバーがミリオンと呼んでいるのはわざとです。15巻辺りを読み返していただければ原作でもそう呼んでいる描写がありますので見てみてください！ご指摘ありがとうございました！ (2019年1月28日 0時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2018年11月30日 12時
