Story.21 ページ29
薬でブーストさせたからといって入中には地下全体を操る程の力はなかった。せいぜい入口一帯だけだ。
だから、個性で無理やり壁を突破した私たちを彼が追ってくることは無かった。
通路の先からは兄の声が聞こえた。
消音のヘッドホンを着けた耳で地下室の様子をずっと聴いていた。その声は元々、作戦開始の前から、死穢八斎會本拠地の前に収集がかかったときから、聴こえていた声だった。
懐かしいけれど、暖かい気持ちにはなれない声。
その声がだんだん近づくことが、走って兄に近づいていることが。
……私の中では恐怖と緊張とストレスの塊だった。
だから、いつも以上にドクドクと音を立てる心臓も、疲れて息が切れているわけでもないのに荒くなる呼吸も、そして全身から吹き出す冷や汗も。
「治崎さん！？大丈夫かい！！」
過呼吸になって倒れるまで、ミリオ先輩に心配されるまで自分で気が付かなかったのだ。
このままではミリオ先輩の足を引っ張ってしまう。
みんなの協力を無駄にしてしまう。
壊理との約束を……助けるという約束を守れなくなる。
倒れてもなお、そんな焦りと不安が押し寄せてきた。
……その全てに押し潰された私はサーたちと別れてたった数分。戦える状態では無くなっていた。
地面に座り込んだ私を介抱しようとしたミリオ先輩に、
「……行って！！」
そう叫ぶことしかできなかった。
ミリオ先輩が先に兄貴の元へ向かった後、過呼吸はあっという間に収まった。
それと同時に虚しくなった。ミリオ先輩と共に兄貴の元へ向かわなかった……向かわなくて済んだその状況にホッとしている自分がいた。
どうか私が行く頃には全てが終わっていますように、と願ってしまった。
でも、そんなことを考える頃には少し冷静になってきて辺りの状況がまともに見えるようになった。
その時、目の前の廊下に、私が死穢八斎會にいた頃には見覚えのない部屋が１つ増えていることに気がついた。
「何、この部屋。」
扉に付いた頑丈な鍵は、私にとってはあってないようなものだった。
片手で扉に触れ、扉ごと分解する。
するとそこは資料室だった。潔癖症の彼らしい、真っ白なファイルがズラリと並んでいる。
パラパラと中をめくると、それは壊理を使って行っていた研究資料だった。
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ニナ(プロフ) - サーが死ぬところガチ泣きしました。ありがとうございます (2021年3月15日 20時) (
レス) id: fec159ffdc (このIDを非表示/違反報告)
Ama(プロフ) - ほんとに泣きました、アニメ見て泣いたのですが、本当に良かったです、！！小説？書くのとてもお上手ですね！！ほんとにここまで泣いたの初めてです、 (2021年1月8日 3時) (レス) id: 06070d74b0 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» いえいえ！！細かいところまで読んでくれてるんだなーって嬉しかったです！！これからもよろしくおねがいしますね！！ (2019年1月28日 1時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 近藤。さん» ごめんなさい！原作しっかり読んでませんでした……完全に早とちりです……本当にすみません!! (2019年1月28日 1時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» すみません、バブルガールやサーの事務所のメンバーがミリオンと呼んでいるのはわざとです。15巻辺りを読み返していただければ原作でもそう呼んでいる描写がありますので見てみてください！ご指摘ありがとうございました！ (2019年1月28日 0時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2018年11月30日 12時
