Memory.6 ページ20
壊理を妹のように可愛がるようになった私には、分かるようになったことが増えた。
表情から他人の感情を読み取ること、そしてまだ幼かった私を守ろうとしてくれていた兄の気持ち。
ころころとよく変わる壊理の表情だったが、その顔に笑顔だけは全く浮かばなかった。
そんなところもやっぱり私と同じで。
助けてやりたい、とそう思った時に死穢八斎會から連れ出すのが一番だ、とも思った。
けれど、あの日の兄のようにそうできるだけの人脈も、力も、勇気も、私には足りなかった。
そして、兄が私を孤児院から連れ出すためにどれだけの勇気と行動力が必要だったかを初めて知った。
「バカにしてんのかクソ兄貴、ウザイんだよ」
あの日私が反抗心で兄に放った言葉がどれだけ兄の心を傷つけていたのか。今思えばあの時兄が私に浮かべた笑みは傷ついた心を隠すためだったのかもしれない。
けれどもうそれも十年近く前の出来事。そんなことに今気づいた所で私は兄にどう謝ればいいのか分からなかった。
壊理は兄の元から部屋に帰ってくると、いつも私の服の裾を小さな手で掴んで、声を押し殺して泣いていた。
そんな壊理をぎゅっと抱きしめながら、
「ごめんね、私にもっと力と勇気があれば壊理をここから連れ出せるのに」
いつもいつも、壊理に対してそんな言葉を吐いたが、助けられない事実が辛かった。
そんな時、部屋のテレビをつけるとそこで報道されていたのは“オールマイト”の特集だった。
平和の象徴。
今の世の中を平和と呼ぶならば、この世界は腐っている。そんなことを考えながらすぐにテレビの電源を切った。
けれど、ふと思った。
私がヒーローになれば。資格を取って社会的な地位と権力を持つことができれば。本当に壊理を助け出すことができるかもしれない、と。
だから、中学一年生の夏、ヒーローになるための最短の道である雄英高校ヒーロー科の受験を決めた。
そして、私は壊理に、
「必ず私がここから救い出す。でもそのためにはまだ力が足りないの。だから、私も頑張るから。壊理も頑張って。」
そんな言葉をかけるようになった。
そこからは個性の勉強も学校の勉強も、これまで以上に力を入れた。それだけじゃない、死穢八斎會の一員としてヒーロー社会とヒーローについて、様々な武器の扱いや体術も沢山勉強した。
傍から見ると狂気に満ちている程の努力。それが功を奏したのは、２年半後。私の元へ雄英高校の合格通知が届いたのだ。
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ニナ(プロフ) - サーが死ぬところガチ泣きしました。ありがとうございます (2021年3月15日 20時) (
レス) id: fec159ffdc (このIDを非表示/違反報告)
Ama(プロフ) - ほんとに泣きました、アニメ見て泣いたのですが、本当に良かったです、！！小説？書くのとてもお上手ですね！！ほんとにここまで泣いたの初めてです、 (2021年1月8日 3時) (レス) id: 06070d74b0 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» いえいえ！！細かいところまで読んでくれてるんだなーって嬉しかったです！！これからもよろしくおねがいしますね！！ (2019年1月28日 1時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 近藤。さん» ごめんなさい！原作しっかり読んでませんでした……完全に早とちりです……本当にすみません!! (2019年1月28日 1時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴのさん» すみません、バブルガールやサーの事務所のメンバーがミリオンと呼んでいるのはわざとです。15巻辺りを読み返していただければ原作でもそう呼んでいる描写がありますので見てみてください！ご指摘ありがとうございました！ (2019年1月28日 0時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2018年11月30日 12時
