Story.6 ページ7
腕に付けられたその金属に兄貴は鳥肌を立てることもせず、ゆっくり確かめるようその鉄の拳を握った。
そして、何故だと言いたげな目で私の方を見る。私は兄貴と目を合わせて、少しだけ笑いながら話す。
「これでも感謝してるんだよ。」
「……誰がだ。」
「私が、兄貴に。
……私は兄貴がいなかったら今頃人殺しとしてジメジメした路地裏で寂しく生きてたかもしれない。……もしかしたらもう捕まってるか、野垂れ死にしてたかも。それか、あの孤児院で、個性が発現する前に殺されてたかもね。」
兄貴は何も言わず私から少し目を逸らして話を聞く。
「……人に少し触れられただけで鳥肌立てて人を殺す兄貴が私に対してそんな反応したこと無かった。大切にしてくれてたんだよね。
私も兄貴のことは嫌いになれない。でも……サーを殺したことだけはどうしても許せない。
……兄貴の腕を治そうと何度も考えたんだよ。でもそうしてしまったらサーが報われない気がした。
それで2ヶ月、考えて考えて考え抜いて……義手が一番いいんじゃないかって、思った。
私を今まで……やり方は悪くても今までずっと守ってきてくれた兄貴の情けない姿はもう見たくない。
それに……もう守ってもらわなくても生きていけるぐらい、私は強くなれたんだってお兄ちゃんに見てもらいたい。
だから兄貴は安心してお務めして。ヤクザ者が警察に捕まるなんて珍しい話じゃない。
……死穢八斎會の名誉は、私が守ってみせる。」
この刑務所の中には外のニュースは入ってこない。だから兄貴は死穢八斎會の前に中指が置かれていた、だなんて知らない。
でもきっとこの事を知れば兄貴は怒るだろう。
死穢八斎會は確かに解散した。だが、それがどうした。
どこの誰かは知らないけれど、部外者が私の……私たちの家を、誇りを、人生を。侮辱して踏みにじるなんて許さない。
世間が聞けばくだらない事、野蛮なことだと切り捨てるのだろう。……でも、それでも。それが私にとっての正義だ。
路地裏出身の日陰者を、舐めるな。
私がそんな意味を込めてぎゅっと拳を握りしめながらそんなことを言うと、死んだ目をしていた兄貴の目に少しだけ光が戻った気がした。
訓練もしていないのに、冷たい金属の義手を器用に動かし私の頭をクシャッと撫でる。
その時に向けられた10数年ぶりの兄貴の笑顔と、頭を撫でる作り物の大きな手に思わず声を出して、泣いた。
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近藤。(プロフ) - 額紫陽花さん» お待たせしてますコメントありがとうございます！続編は更新のペースを少しあげていく予定ですので最後までお付き合いいただければ嬉しいです！！ (2020年1月5日 22時) (
レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴーなっつさん» ありがとうございます！！この小説、オバホ布教のために作ったのでそう言っていただけるのが1番嬉しい！！小説の書き方上げてましたが消しました。もしかしてお読みでしたか？もし必要であればもう1回作って上げ直しますので言ってください！！ (2020年1月5日 22時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
額紫陽花(プロフ) - オバホ大好きなのでとても楽しく読ませて頂いています！続きお待ちしています!! (2019年12月26日 22時) (レス) id: 948989c80e (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなっつ - いつも楽しく読ませてもらってます！大好きです！治崎がめちゃんこかっこいいです。この小説から、オバホが好きになりました。 あと、質問なのですが……以前、小説の書き方みたいなのあげてませんでしたか？あれは、消されてしまいましたか？ (2019年12月20日 17時) (レス) id: a216a3693b (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 銀獅子�擦気�» 返信遅くなってすみません、ありがとうございます！！最終章書いてたんですけど新刊でテンション上がったので全部初めから書き直してます(苦笑) 一気に載せれるかは分かりませんが面白いものが出来そうなので気長に待って頂けたら嬉しいです！！ (2019年12月7日 12時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2019年5月6日 12時
