Story.14 ページ15
デトラネットの高いビルを目印にどんどん足を進めた。
人が叫ぶ声。崩れる声。喚く声。
対ヒーロー戦とは明らかに違う、容赦のない殺し合いの音がする。
気月達を蘇生してから抱えていた頭痛も粗方引いて、戦況を冷めた目で見ていた。
暫く足を進めると、目の前に2人の人を見つけた。
死柄木弔と四ツ橋力也。
すると、私に追いついてきたらしいユウキが私に話しかける。
「お嬢、アレは危険だ。一旦引きましょう。」
ユウキの言った“アレ”とは個性で巨大化した四ツ橋ではない。何時もの雰囲気が消えた死柄木弔だ。
本能的に感じるレベルの“危険”
楽しそうに声高らかに笑いながら死柄木弔が地面に触れた。すると、連なるもの全てが地面を通して崩壊を始める。
唖然。呆然。そんな言葉が似合う。何もすることができないまま目の前で起こった大崩落を眺めていた。
「お嬢、引きましょう。……っ！？」
2度目、私の肩をグイッと引きながらユウキがそんなことを言い、私の顔を見るなり固まった。
不思議に思って自分の顔面に手を添えて、それで初めて気がついた。
無意識に口角が上がっていた。目の前の大崩落と大量殺人を見て、無意識に私は笑っていたのだ。
四ツ橋力也が降伏の声を上げる。そして解放軍はヴィラン連合の下につくと言った。
その一連の流れを横目に帰ろうとした。この一連の事件はきっと闇に葬られて大したニュースにすらならない。
すると、その時、
「やぁ、治崎さん。」
なんて、私を呼ぶ声が聞こえた。私を呼んだのは他ならぬ死柄木弔だ。
「もうそろそろ敵連合に来ないか？でないと君を連合に引き入れるその前に全部ぶっ壊しちまう。」
楽しそうに、子供のように、笑いながら私にそんなことを言った。
四ツ橋力也も、その場に集まっていた沢山の解放軍の人達も同時に私の方を見る。
彼らが膝まづいてでも下に着きたいと願う死柄木弔に勧誘されている私に、羨望にも近い眼差しが送られているのを感じた。
何故、こんなにこの人は私に執着するのだろう。たった今、解放軍という何十万もの戦力を手に入れてなお、何故。
もう死柄木は“先生”の思想に囚われているようにも感じない。これは彼の意思だ。
壊されることに対する恐怖はない。
でも、ただ、ほんの少しの好奇心が疼く。
それは、初めてトガちゃんに出会ってお友達になった時と同じ感覚だった。
気がつけば私は、死柄木弔の誘いに首を縦に振っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1602人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
近藤。(プロフ) - 額紫陽花さん» お待たせしてますコメントありがとうございます！続編は更新のペースを少しあげていく予定ですので最後までお付き合いいただければ嬉しいです！！ (2020年1月5日 22時) (
レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ぴーなっつさん» ありがとうございます！！この小説、オバホ布教のために作ったのでそう言っていただけるのが1番嬉しい！！小説の書き方上げてましたが消しました。もしかしてお読みでしたか？もし必要であればもう1回作って上げ直しますので言ってください！！ (2020年1月5日 22時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
額紫陽花(プロフ) - オバホ大好きなのでとても楽しく読ませて頂いています！続きお待ちしています!! (2019年12月26日 22時) (レス) id: 948989c80e (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなっつ - いつも楽しく読ませてもらってます！大好きです！治崎がめちゃんこかっこいいです。この小説から、オバホが好きになりました。 あと、質問なのですが……以前、小説の書き方みたいなのあげてませんでしたか？あれは、消されてしまいましたか？ (2019年12月20日 17時) (レス) id: a216a3693b (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 銀獅子�擦気�» 返信遅くなってすみません、ありがとうございます！！最終章書いてたんですけど新刊でテンション上がったので全部初めから書き直してます(苦笑) 一気に載せれるかは分かりませんが面白いものが出来そうなので気長に待って頂けたら嬉しいです！！ (2019年12月7日 12時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：近藤。
| 作成日時：2019年5月6日 12時
