Story.2 ページ2
あれから何時間経ったのか。ピンポーンとチャイムが鳴る。
テーブルに突っ伏したまま眠ってしまっていたので目を擦りながら顔を上げて時計を見ると夜中の1時だ。
ふらっと椅子から立ち上がり腰を上げる。家の戸を開けると立っていたのは玄野針。
彼……いや、私の元彼の腹心だ。
「少しお時間頂いても？」
「いいよ、上がって。」
人の良さそうな笑顔で私に笑いかけた彼を部屋に招き入れて玄関を施錠する。
「コーヒーと紅茶どっちがいい？」
彼を家に上げるのはこれで二度目だった。そんなことを聞きながら、クッキーの箱を戸棚から出す。
やかんを火にかけてリビングに戻ると、急に視界が反転した。ぼすっという音と共に背中に皮のソファーの冷たさが染みる。
「男をこんな時間にホイホイ自宅に上げるんですね。」
目が据わっている玄野が私に覆い被さっているのを見て思わずフッと笑いが漏れた。
「……冗談はよしてよ。聞いたでしょ私と廻が別れたって。
怒りにきたの？
それとも私とこういうことしたくてわざわざ来た？」
冗談めかしてそんなことを言うと、はぁっと深いため息を吐いたあと心底呆れたような顔をした玄野が私の上から退いたので、私はそこから立ち上がってキッチンに向かいコーヒーを淹れる。
出した熱いコーヒーを玄野は1口啜ってもう一度ため息を吐いた。
「大変だったんですよ。凄い形相で八斎會の本拠地に帰ってきたかと思えば気晴らしに何人も部下を殺して。後片付けは全部私任せですよ全く……。」
「……上司の愚痴を言いに来たの？」
「アンタに嫌味を言いにきたんです。」
そう言って彼は私を睨みつけると持っていたコーヒーカップをテーブルに置いて腕を組む。
「ふうん。でももう過ぎたことだから。私には関係ない。」
「そういう所、本当にアンタ達、似てやすよね。」
「やめてくれる？別れたばかりの女の傷口に塩塗りに来たの？」
「アンタから振ったのに傷口もなにもないでしょう。」
「あの人そんなことまで玄野に話してんの？」
「……いや、ベタ惚れでしたからね。廻から振ることはないですよ。」
内心少しビクついた。私を振り返りもせずに、私が振る理由も聞きもせずに、別れ話に二つ返事で帰っていったくせに。
「そういうの、一方的に伝えに来るのはずるいと思う。」
「ずるくていいんです。極道ものですから。」
そう言って玄野は笑った。
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白亜 - 悲恋とか苦手で余り見なかったけどヤンデレとか重い愛好きなので面白かったです。(死んだけど) (2023年4月17日 0時) (
レス) @page10 id: 19cc797338 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(七海建人の嫁) - 治崎廻大好き (2022年3月20日 0時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 読んでる途中は最終的にハッピーエンドかなって思ってたんですけど、この結末になってびっくりしましたが、これはこれでありだなと思いました。私も秒針を噛む知ってますよ！いい曲ですよね！！ (2020年4月19日 11時) (レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» 狂愛がテーマだったので片方死んだら追っかけさせなきゃ……って思いまして。ロミジュリみたいな純愛ラブストーリーではないですけどね！！読んでいただいてありがとうございました！ (2019年11月12日 12時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 最後のところちょっとだけロミオとジュリエットに似てて2人とも死んでしまった…って思いました (2019年11月11日 0時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2019年9月14日 17時
