Story.36 ページ37
彼は私に近づいてくると、しゃがんで私に目を合わせ私の肩に手を置いた。
彼にはないはずの目が合っていると思えるその感覚が怖い。
震える声で、私は尋ねた。
「……私の個性を、奪うんですか。」
すると彼は相も変わらず私に笑いかけながら、
「とんでもない、君の強さは元々の個性の強力さだけじゃあ成しえない。君の莫大な量の努力あってこそのものだろう？
そういう個性は
我々が欲しいのは君の個性じゃなくて君だよ、治崎さん。どうだろう、ヴィラン連合に入るつもりはないかい？」
怖い。……こんなものどうやって断ればいい？
「わ……私は……」
「君が辛かった時にヒーローが1度でも手を差し伸べてくれたことがあったかい？」
「……え」
「所詮ヒーローなんてそんなものさ、正義を語っちゃいるがそれはあくまで善良な市民に対してだ。
社会から見捨てられた君にとってはヒーローこそが“敵”だったはずだろう？
窮屈だよな、今の社会は。それを我々は変えようとしているだけじゃないか。
君や、連合が生きやすい社会へ。
君には僕達の気持ちが痛いほど分かるはずだ。」
オールフォーワンは私にそう言った。
……悔しいことに、その通りだとも思った。
けれど……私は怖さに負けたくない。
自分の進んできた道をこんな所で変えたくない。
逸らせない目を改めて彼に合わせ、言葉を紡ぐ。
「……私達はきっと救われたかったんです。
……他でもない、ヒーローに。
でも私には私を護ってくれていた兄がいたから。社会を恨みはしていても自分の生まれを不幸だと思ったことは、ない。
きっと、兄も死柄木も私と同じように社会を恨んでいると思います。
私はもう、そういう人を出したくない。救われなかった……それで道を歪めてしまった兄や死柄木、そして私のような人を出さないために私はヒーローになりたいんです。
私の目指す社会に変えるためには、ヒーローじゃないと駄目なんです。
だから、私はヴィラン連合には入りません。」
私がオールフォーワンに笑顔を向けながらそう言うと、彼はため息をついて下を向いた。
ようやく勧誘を諦めてくれたか、そう思ったのもつかの間。
そうして少しの間のあと顔を上げ再び私を見た彼の顔は、今までと比べ物にならないほど、恐ろしく真っ黒な笑顔だ。
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近藤。(プロフ) - 名無しさんさん» お褒めいただき光栄です！これからも更新がんばりますのでよろしくお願いします！！ (2018年9月28日 17時) (
レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - めっちゃ面白いですっ！！更新頑張ってくだせぇ！！ (2018年9月28日 15時) (レス) id: b36dff7859 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ひさめさん» ほんと、ありがとうございます！治崎が出た瞬間久々に本気で叫んだので同じアパートの人達には相当迷惑かけたなー、と反省してます笑 リクエスト小話ですか！良いですね、やりましょう！！そうと決まれば準備してきます！！楽しみにしておいてください！ (2018年9月16日 22時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
ひさめ - ご無理のない範囲での更新を楽しみにしています(^^) (2018年9月16日 21時) (レス) id: 3ec8a39d6f (このIDを非表示/違反報告)
ひさめ - おめでとうございます！よかったですねオバホ！(笑)企画ありがとうございます〜！！すごく私得というだけなのですが、番外編ということで小話リクエストなど…！は、どうでしょうか！流れで本編裏話などが聞けたらとっても棚ぼたなのですが…… (2018年9月16日 21時) (レス) id: 3ec8a39d6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2018年7月26日 0時
