Story.30 ページ31
トガちゃんは私を見つけるや否やこちらに駆け寄ってくる。
「Aちゃん！危ないわ！！」
そんな梅雨ちゃんの叫び声もどこか遠くに聴こえた。
フツフツと、どす黒い何かが腹の底から湧き上がってくる。頭に血が上る。
ニコニコしながら私の目の前に立っているトガちゃんは私に対する殺意はきっと抱いていない。
けど一方の私といえば……真逆だ。
笑顔を見ても殺意しかわかない。
愛想笑いを浮かべることもできない。
どうして、いつもこうなる。
必死にやってきた。自分を変えようとした。
でも、ステイン、死柄木、マグネ、スピナー、そして……トガヒミコ。
いつもヴィランは私の邪魔をする。
自分自身がヴィラン側に片足突っ込んでることなんて、自分が一番分かってんだよ。
だから、自分の中のヴィランの部分を殺して、隠すのに。
「なんでお前らはいつも私の邪魔をする。
私はヒーローになりたいんだよ。平気で人を傷つける事ができる……そんな自分を変えたいんだよ。」
「何言っとんのAちゃん……？」
私に問いかけるお茶子ちゃんの声すらもう私の耳には届かない。
腹が立つ、嫌いだ、邪魔。
「そう、邪魔なんだよトガちゃん。
私は
ねぇ、なんで！？」
気がつけば呼吸が荒くなっていた。ポケットに手を突っ込んで折りたたみのナイフを取り出す。
パチン、そんな子気味いい音を立てて開いたナイフの切っ先を真っ直ぐトガヒミコへ向ける。
“人を殺す”
これは、私が私の嫌いな人間にならないために超えてはならない一線だ。
でも、もう心が限界だった。
無理ならもう、夢も理想も壊してしまえ。
そう思ってトガに向かってナイフを振り上げた、その時。
振り上げていた手首を誰かに掴まれた。
「離せよ！！」
そんなことを叫びながら振り返ると、冷めた顔で私を見下ろしていたのは、
「テメェ、その目やめろ。人でも殺す気か。」
いつも物騒なことばかり叫び散らしている、爆豪勝己だった。
「……なんで…………爆豪」
真夏だというのに気付けば私の身体は冷えきっていた様だった。私の手首を掴む少し汗ばんだ爆豪の熱い手の体温。
ボロボロ涙が出てきた。
まだ、私を止めてくれる人がいた。
そのまま泣き崩れた……はずの私だったが、ほんの一瞬で、気がつけばどこかに閉じ込められていたのだ。
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近藤。(プロフ) - 名無しさんさん» お褒めいただき光栄です！これからも更新がんばりますのでよろしくお願いします！！ (2018年9月28日 17時) (
レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - めっちゃ面白いですっ！！更新頑張ってくだせぇ！！ (2018年9月28日 15時) (レス) id: b36dff7859 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - ひさめさん» ほんと、ありがとうございます！治崎が出た瞬間久々に本気で叫んだので同じアパートの人達には相当迷惑かけたなー、と反省してます笑 リクエスト小話ですか！良いですね、やりましょう！！そうと決まれば準備してきます！！楽しみにしておいてください！ (2018年9月16日 22時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
ひさめ - ご無理のない範囲での更新を楽しみにしています(^^) (2018年9月16日 21時) (レス) id: 3ec8a39d6f (このIDを非表示/違反報告)
ひさめ - おめでとうございます！よかったですねオバホ！(笑)企画ありがとうございます〜！！すごく私得というだけなのですが、番外編ということで小話リクエストなど…！は、どうでしょうか！流れで本編裏話などが聞けたらとっても棚ぼたなのですが…… (2018年9月16日 21時) (レス) id: 3ec8a39d6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：近藤。
| 作成日時：2018年7月26日 0時
