▼ よんじゅうに ページ43
「なんで、ここに」
「早く幸くんに会いたくて。ダメだった?」
「だ、ダメじゃないけど
なんでオレがここにいるって分かったの」
恐る恐るといった感じでオレがそう尋ねると、Aは不思議そうに首を傾げる。
「分かるよ、だって俺幸くんのこと好きだし」
「…!」
にへら、と顔を緩めるAに胸がドキドキと高鳴る。
彼の言葉がどうしようもなく嬉しくて、俺はふいっとそっぽを向いた。
「ごめんね、行こうか?」
「時間、大丈夫なの?かなり押したんじゃない」
俺の手持ちカバンを流れるように持ち、背中に手を当てて優しくエスコートするようにAはオレと共に正門へと歩き出す。
俺の発言にぱちくりと瞬きしたAは、ふっと優しく微笑んで俺の頭を優しく撫でた。
柔らかな彼の眼差しを受けた俺は、Aの瞳に映る俺の顔を見て息を飲む。
_____誰だ、これは。
不安そうに眉尻を下げ、こちらの様子をそっと伺っている儚げな少年。
普段鏡で見るような俺とは全く違う蕩けた表情筋が何だか見てられなくて、俺はそっとAの瞳から目をそらす。
「今日は臣にいろいろ頼んできたから大丈夫。
ご飯も俺と幸くんはいらないって言ってきた
ね、せっかくだしご飯も食べて帰ろうよ」
「…オレそんなお金持ってないけど」
「幸くんに払わせるわけないじゃん!」
俺の事なんだと思ってるの、と少々ムッとするA。
人間タラシ、と返してやれば驚いたように目を丸くしたが、後に彼は声を上げて笑った。
「あはは!俺のどこを見て言ってるの、それ!」
「はぁ?全体に決まってんでしょ」
まさかこいつ気付いてないの?と怪訝そうな視線を向けても当の本人は何処吹く風。
やけに楽しそうにオレの隣を歩くAに、柄にもなく心臓が騒ぐ。
__そんなに、楽しそうにされたら期待しちゃうじゃん。
どうしようも無いこの感情を認めることも、蓋をすることも出来ないまま、オレはただAの横を歩いた。
ちょっとだけ、今だけだから。
___今はAを、独り占めしたかった。
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める(プロフ) - ま、ます、真澄くんのとこで昇天しました…最高…( (2020年9月26日 2時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
千里(プロフ) - えええ久しぶりの更新めちゃくちゃ嬉しいです待ってました、、、これからもずっと待ってるので、更新楽しみにしています(;_;) (2020年6月21日 15時) (レス) id: 290ff80d8c (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - 幸くんが最高に可愛いです…夢主くんもめちゃめちゃかっこよくて好きです!!更新応援してますね! (2019年12月31日 2時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 続きすごく気になります!更新無理しない程度にガンバってください!!!!!!応援してます (2019年12月14日 19時) (レス) id: e54dafa9c8 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - すごくいい!すごく面白いです!!BLはちょっと無理なんですが、そういう感じじゃなくて、なんか、、こう見ていて普通に逆ハー!って感じで好きです!!これからも頑張ってください!応援してますー! (2019年10月30日 21時) (レス) id: 0a78293a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいす | 作成日時:2019年10月10日 15時