▼ にじゅうご ページ26
「Aだ〜!」
「!三角、びっくりした」
ある日の昼下がり。
荷物を持って廊下を歩いていれば、後ろから聞き覚えのある声と共にある男が俺の後ろから突進してきた。
結構な量を持っていた俺は、荷物とのしかかってきた三角を支えるためにぐっと筋肉に力を込める。
後ろを振り返れば、いつも通り人懐っこい笑みを浮かべた三角がいた。
「三角、こうして抱きついてくれるのは嬉しいけど、荷物もってる時はやめてね」
「うん!俺ね〜A大変そうだから手伝いにきた!」
「」
三角は俺の手元を見て、半分くらいをひょいと奪い取る。
そのままどこに持っていくのかを聞かれ、俺は稽古してる部屋、と告げると三角は笑顔でぴゅーっと走って行ってしまった。
相変わらずの読めない行動と、並外れた運動神経。
俺も彼の後に続くように、できるだけ早足で部屋へと向かった。
だって走って全部落としたら大変だしね。
「あれ、三角くん?」
「あ〜かんとくさんだ〜!」
にこにこ笑う三角くんを見て呆然とする。
あれ、私Aに頼んだつもりだったんだけど…
もしかしてそれどころじゃなくて三角くんに頼んだのかな。
もしくは、私とあんまり一緒にいたくなくて___
嫌な考えが頭をよぎって、無理やり考えるのをやめた。
いけない、だって私たちはもう別れてるんだもん。
いくらAが優しいからって、甘えすぎてはいけない。
自分の心に喝を入れて、口を開いた。
「ありがとう三角くん。これもっとあったはずなんだけど…」
「うん、それはね〜」
「お待たせ」
三角くんの言葉と重なって聞こえたドアの音と彼の声に勢いよく振り返る。
ドアの傍らに立って笑う彼はやっぱり素敵なことこの上ない。
「監督、これ頼まれてたやつね。三角手伝ってくれてありがとう」
「ぜんぜんいいよ〜!Aはさんかくだからいっぱい手伝う!」
「はいはい。ねぇ監督、これってもしかして小道具?」
「へ?あっうん
今日は小道具とか衣装とか、実際に合わせながら練習しようと思ってて」
「どうせA暇でしょ、オレの着付け仕事手伝って」
「うん、分かった。幸も今日は衣装着なきゃだもんね」
そういって幸くんの頭を撫でる彼の姿に胸が痛くなる。
___前はあそこは私の特等席だったのに。
彼との何の隔たりもなく、純粋に好意を持って関われる皆が私は羨ましくて仕方がない。
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める(プロフ) - ま、ます、真澄くんのとこで昇天しました…最高…( (2020年9月26日 2時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
千里(プロフ) - えええ久しぶりの更新めちゃくちゃ嬉しいです待ってました、、、これからもずっと待ってるので、更新楽しみにしています(;_;) (2020年6月21日 15時) (レス) id: 290ff80d8c (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - 幸くんが最高に可愛いです…夢主くんもめちゃめちゃかっこよくて好きです!!更新応援してますね! (2019年12月31日 2時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 続きすごく気になります!更新無理しない程度にガンバってください!!!!!!応援してます (2019年12月14日 19時) (レス) id: e54dafa9c8 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - すごくいい!すごく面白いです!!BLはちょっと無理なんですが、そういう感じじゃなくて、なんか、、こう見ていて普通に逆ハー!って感じで好きです!!これからも頑張ってください!応援してますー! (2019年10月30日 21時) (レス) id: 0a78293a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいす | 作成日時:2019年10月10日 15時