▼ さんじゅう ページ31
「A、俺と勝負して」
「勝負?至と…?なんでまた突然」
それは土曜日の真夜中の出来事。
晩御飯の時間に頼まれた夜食を届けに至さんの部屋を訪れれば、彼の口から何の脈絡もなくそんな言葉が飛び出してきた。
ちなみに同室の千景さんは爆睡。相当お疲れのようだ。
そんな千景さんを配慮してなのか、部屋は暗くゲームの音量もいつもよりずっと小さい。もっと言うと至さんの声まで小さい。
はよ、と言って死んだ目でこちらを見上げる至さんに俺は眉尻を下げて苦笑。
彼の手には二人分のゲームコントローラーが握られているところから、きっと彼の言う勝負というのはゲームでの勝負のことなんだろう。
さすがゲーマー、揺るぎないなぁ。
「一人でやってて飽きた。
イベもあらかた走って飽きたし万里は今日に限って寝たし
いいでしょ、相手してよ」
「そんな事言われてもなぁ…俺ゲームとか正直よく分かんないよ」
「教えるから。はいこれコントローラーね、ここ座って」
「(断るタイミング逃した)」
半ば強制的に仕立てあげられたその勝負の場に俺は乾いた笑いをするしかなかった。
が、案外やってみれば楽しいもので、数十分もすれば至さんと協力してプレイができるほどには上達した。
気を良くした至さんはどんどんテンションが上がっていき、仕舞いには対戦したいと言い出したのである。
「どうせなら罰ゲームありにしよ」
「え、酷いね?俺今日初めてこれしたのに」
「俺がAに勝ったらAから俺にキスなんてどう?」
「確かにそれは罰ゲームだなぁ」
「Aは?勝ったら俺にどんな罰を食らわすの?」
「えぇ…?俺そもそも勝つことないだろうからなぁ
勝ったら勝ったで、その時に決めようかな」
「じゃ、決まり。早速やるぞ」
メラメラと闘志に燃える至さんを横目に俺は首を傾げる。
なんでそんなにやる気が?やっぱゲーム好きだから?それとも罰ゲームが嫌だから?
俺は何も罰ゲームの内容を明かしていないというのに?
そこまで考えたがご存知の通り彼はゲーマー。
彼にとってゲーム初心者の俺に負けるのはプライドに傷がつくようなものだからだろう。
でも至さんにキスはちょっと嫌だな、さすがに。
彼を立ててわざと負けるか、罰ゲームから逃れるために勝つか。
どうしたものか、と頭を悩ませながら、俺はコントローラーを握り画面に向き合った。
___この後、どういった展開になったかは2人の秘密である。
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める(プロフ) - ま、ます、真澄くんのとこで昇天しました…最高…( (2020年9月26日 2時) (レス) id: 0fd2e5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
千里(プロフ) - えええ久しぶりの更新めちゃくちゃ嬉しいです待ってました、、、これからもずっと待ってるので、更新楽しみにしています(;_;) (2020年6月21日 15時) (レス) id: 290ff80d8c (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - 幸くんが最高に可愛いです…夢主くんもめちゃめちゃかっこよくて好きです!!更新応援してますね! (2019年12月31日 2時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 続きすごく気になります!更新無理しない程度にガンバってください!!!!!!応援してます (2019年12月14日 19時) (レス) id: e54dafa9c8 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - すごくいい!すごく面白いです!!BLはちょっと無理なんですが、そういう感じじゃなくて、なんか、、こう見ていて普通に逆ハー!って感じで好きです!!これからも頑張ってください!応援してますー! (2019年10月30日 21時) (レス) id: 0a78293a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいす | 作成日時:2019年10月10日 15時