▼ かんとく の もとかれ が あらわれた！【A3!】

▼ じゅうきゅう ページ20

｢いえ〜いテンアゲ〜✩｣

｢て、てんあげ〜？｣



訳の分からない掛け声とともにシャッターを切られる。

スマホに映し出された画面に映っていた自分は、心底困惑したような表情を浮かべていた。

しかもなんか目がきらきらして肌も白くなって…え、なにこれプリクラ？



｢ちょ〜激盛れじゃん！やっぱ元がいいと余計に盛れる！｣


｢も、漏れ…？｣


｢漢字がちげぇよ｣




テンションがいつにも増して爆上がりな一成くんに俺は正直困惑気味。
一成くんと一緒にいた天馬くんも呆れたような表情。


なんか家事を片付けていればいきなりツーショットをねだられて応えればこれだ。ごめん唐突すぎで言葉が出てこない。




｢ねーねーこれインステ上げちゃっていい！？｣


｢インステ…ってあれか。うん、別にいいよ｣


｢まじで！？よっしゃ〜これはもう1000ええなは確定っしょ！｣




満面の笑みでスマホを高速フリックしていく一成くん。
手の動きがもはや人間には見えない。
何歳か年下なだけでこんなにも違うものか…と俺は年の差をしみじみと感じた。

大学生だし一番楽しい時期だよね、わかるわかる。




｢やべ〜テンテン見てこれ！やばくない！？｣


｢お前やばい以外に何も言えないのかよ｣


｢(ちょっと思ったとか言えない)｣




きゃっきゃとはしゃぐパリピな一成くん。

こんな彼だが、演劇や芸術の事となれば別人のようになるのだから、ちゃんと自分の中でメリハリが付いているのだろう。

しばらくすると、俺の視線に気付いたらしい一成くんがこちらを見た。




｢？もしかしてみんなの反応が気になっちゃった！？｣


｢ううん。はしゃぐ一成くんは可愛いなぁと思って
笑ってる時が一番可愛い顔してるね、一成くん｣


｢っえ、｣



(わんちゃんみたいで)可愛いなぁと、素直に思っていたことを言えば、楽しそうに笑っていた彼は一気に顔を真っ赤に染めあげる。

さっきまで勢いよく話していたのに、照れているのか黙りこくってしまった。横にいる天馬くんまで照れている。
あれ、もしかして可愛いって言われ慣れてない？
まぁ男の子だしイケメンだし、(幸くんを除いて)可愛いって言われることはほぼないか。


｢可愛いよ、一成くん｣


｢っ、ちょ｣


｢その真っ赤な顔もまた可愛いね｣


｢っ、ギブギブ！降参！｣



顔を覆ってしゃがみこむ一成くん。

ちょっと意地悪しすぎちゃったかな。


ごめんねの意味を込めて頭を撫でるとまた照れる彼はやっぱ可愛いと思う。

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