おとぎ話はいつだって【ツイステ】 (ページ4)

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どうやら自分の言っていたことを覚えていたのがお気に召したらしいエースくんは、先程とは打って変わって楽しそうな笑みを浮かべた。

｢いーじゃん、乗った！

帰りさあ、通り沿いにあるジェラートも食べようぜ。あと靴も見たい｣

｢はいはい、エースくんのお気に召すままに｣

｢オネーサン、ごちになりま～～す！｣

｢ただ私の運転ガチであぶねぇから気をつけてね。まじ免許取りたてホヤホヤだから｣

｢唐突に命の危機を感じさせんな｣

ぶつくさ言いながらも超ご機嫌のエースくんを連れて車に乗り込む。

店でハンバーガーを大口を開けて美味しそうに頬張る姿に、大きくなったなぁと微笑ましく感じた。

｢(……ヴィルくんも、)｣

きっと、おおきくなったんだろうなぁ。

写真で見る限りたいそう美しいまま彼は成長した、らしい。むしろ小さい頃より美に磨きがかかっている。

ドラマ見てても美しすぎてひとりだけ顔の解像度が違うもんな。ひとりだけ一眼レフの画素数。美の女神アフロディーテもあまりの美しさに裸足どころか全裸で、しかも全力疾走しながら逃げるレベルである。

何せ、実際に会話を交わしていた頃がとっても小さかったから、私の中の彼はあのころで止まったままだ。

私の中のヴィルくんと、テレビやスマホの画面に映るヴィル・シェーンハイトは、なんと言ったらいいのか、上手く繋がらない。

今や見ない日などないくらいに有名になってしまった彼と知り合いだったなんて、ましてや目の前で泣き喚くという醜態をさらしたなんて信じられない。

実感が感じられないほどに、遠い、とおい、存在になってしまった。

私には到底、手の届かない場所に彼は行ってしまったのだ。

さみしくさせないって、言ってくれたのになぁ。

お口直しに飲んだ炭酸がいやに喉に張り付いた。