おとぎ話はいつだって【ツイステ】 (ページ1)

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一生エースしか出てこないヴィル・シェーンハイト夢ページ1

あの日の約束を、きみは覚えているのかな。

｢＿＿＿ばかね｣

私よりも年下で、とっても美しい彼は泣きじゃくる私を見てそう言った。涙目でぼんやりしてても彼は美しい。良くない視界のなかで見えたのは、歪みそうな顔をなんとか歪ませまいとしたような、彼らしくない不自然な表情だった。

｢アタシとはなれるのがさみしいなんて、ばかなこといわないで。

さみしいなんておもわせないくらい、アンタのそばにいてあげる。ざっしでも、テレビでも＿＿＿なんででも。｣

彼は明日、ここを離れて違う場所へと引っ越す。

私から離れて、私の知らない土地へと向かう。

それがどうしてもさみしくて仕方ない私に、彼はそんな言葉をなげかけた。

｢＿＿＿さみしいなんて、おもうひまもないくらい、アンタのせかいをアタシでいっぱいにしてみせるわ｣

この彼の言葉を、私は未だに覚えている。
心のずっと奥深く、静かに眠る宝箱に、大事に大事にしまっているのである。

｢な、ナイトレイブンカレッジ…？｣

｢そ、オレもそこの学園に通うことになった｣

時は過ぎ、私も年頃の女性へと成長した。

あれから私も父の仕事の都合で引越し、輝石の国から薔薇の王国への引っ越したのだが、あの頃仲良くしてくれていた男の子＿＿ヴィルくんが引っ越す時は恥も外聞も捨てて泣き喚いた気がする。今思えばとんでもない話である。彼も突然年上の女が泣き出して困惑と同時に恐怖したに違いない。かわいそうに。

まあ、そんなこんなで薔薇の王国に引っ越してきてから家族ぐるみで付き合いのエースくん＿＿目の前にいる彼である＿＿が、なんと名門ナイトレイブンカレッジへの入学を許可されたらしい。

ひらひらと書類を見せながらどこか得意げな顔をして私に伝えてきた。

そして堂々と、これが当たり前ですが？とでも言いたげに私の部屋に上がり込んで優雅に茶をしばいている。

なんだこいつ、という感想よりも今回ばかりは驚愕の方が勝った。

｢そ、そんな…あのエースくんがナイトレイブンカレッジに入学だなんて……｣

｢あのってどんなだよコラ｣

まあ彼のお兄さんもナイトレイブンカレッジの生徒だったし、彼もまた魔法士の素質があったのだろう。

そもそもこの世界で魔法を使えるのはひと握り、その中でも名門の魔法士養成学校に通えるだなんて二度とないことだ。

私は魔法が使えないのでまったく世界の違う話であるが。