【土方十四郎】何も見えない【銀魂】

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土方side


総悟に無責任に押し付けられたその写真をじっくりと見た。


「なんだこれ…結構古いじゃねえか。」


万事屋に見せられた写真同様、家族写真だった。


真ん中にはガキが二人。

両隣には男と女。ガキの親だろうか。


男の方がまず間違いなく攘夷志士だろう。

俺は写真に顔を近づけて、そいつの姿を見た。


髷を結っていて、腰には脇差だけが差してある。


この写真の男は中年と言ったところか。


このセピア色に褪せた様子から考えて、恐らく歳はかなり高齢。


二十年前の戦争に既に参加していた可能性がある。


ずっと戦い続けていて、更に今も考えが変わってないということか。


俺は呆れ半分、感心すらも湧いてきた。


つか名前はなんだよ。


写真の裏を見ても何も書いていなかった。


(ったく…総悟もいなくなっちまった…。)


仕方なく俺はその写真を服の懐にしまった。


出来れば会いたくなかったトップ2に連続で出くわしたためか、テンションがダダ下がりだ。


俺は二本くらい吸う予定で来たのに、1本目もそこまで消費せずにまた火を消した。


・・・
Aside


鼻をかすめるタバコの匂い。


ここの院長もタバコを吸っているが、この匂いは違う。


土方さんだ。


自然とそう思った。


すると案の定ドアの開く音が聞こえた。


「土方さんですか？おかえりなさい。」


「おう。」


土方さんはそれだけ返すと、恐らくベッドまで入った。

また寝るのかな、なんて思ったら違ったようで、


土方さんはモゾモゾと動いているのか、服の擦れる音が止まなかった。


(なんだろう…)


「土方さん、何してるんですか？」


私がそう言うと、土方さんの方からその音は止んだ。


「あー、ちょっとな。部下から仕事関係で貰ったもんがあんだよ。」


「仕事熱心なんですね。」

思わず感心してそう言うと、土方さんは黙った。

(あれ、失礼だったかな。)


「…いや、周りがよくサボる。」


それだけ返してきた。

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