【沖田総悟】マイボーイ【銀魂】 (ページ16)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:32,392 hit

#14 ページ16

「…塗り替える…」

そんな、遊ぶみたいな。

「嫌か。真剣な恋愛しか興味ねえって？」

「…違う。好きになって、自分の側にいる存在ができて、でもまたそれを失って…がもうしんどい。」

私だって、恋愛経験が少ないわけではない。むしろ多いと思う。だけどその半分くらいは相手が本当に好きになってくれたのか不明のまま付き合ってたという関係。

残りはその逆。

好き、が何なのか。この男が言う「恋愛」が果たして私の考えてるようなものなのか、ただただわからなくて、考えることもしんどかった。

「んじゃ、その話は無しだな。メシ奢るって約束忘れんじゃねェぞ。邪魔した。」

「……」

見送ることもなく、私は沖田くんの足音が遠くなるのをただ耳を立てて聞くだけだった。

「…あーあ。」

こうして毎日、チャンスを逃してとなりにいてくれる存在を幾度となく逃した。

銀時は私のような不器用で素直じゃない、可愛くない私を見放すことなくただずっと一緒にいてくれた。

沖田くんの言う通りだ。私はそんないい男を、悪い男に仕立て上げようとしていたんだ。

それじゃあ、過去に銀時を好きになった私の気持ちも、私のこの一年間は意味がないものになるじゃないか。

一人暮らしの寂しさを埋めてくれた銀時に、今度こそ、さよならをしなくちゃ。

私はもう、坂田銀時という存在を手放すべきだ。忘れることなく、でもちゃんともう手を振らなくてはならない。

(…ありがとうって、言わなくちゃ。)