プロローグ2 ページ2
「暑いわー。」
「やめろよ暑いって言うと普通にもっと暑くなる。」
「そりゃあんたが単純バカだからでしょ。あー暑い暑い。クーラーかけてよ。」
「んなもったいねえことするかよ。窓開けろ。」
江ノ島は美しかった。ただ、とんでもなく暑かった。
海水のお陰で身体中に張り付くようなベタベタとした塩水の名残は、銀時の車に乗って帰る道の途中でもやっぱり不快感は続いた。
「アイス買おうよ。」
「はー?もう俺金ねえよ」
「いつもないくせに。」
「ほんとにまっすぐ帰るからな!!」
似合わないサングラスさえなければ運転しているこいつの横顔はかっこよかったのに。喋らないでほしい。少し黙ってくれないかな。
「神楽ちゃんとか新八くんとかよかったの?」
「…まあな。久しぶりに遠出だしよ。あいつらも妙のとこではしゃいでるらしいし。」
「そっかー。」
さっきの銀時の言う通り、私は窓を開けて風を仰ぎながら答えた。すると続けて思い出したように銀時は言った。
「そういえばよ、また月詠が呼んでくれたんだ、行ってもいいか?飲み会。」
「…いいんじゃない?」
「お前も来るか?」
「…誰が彼女いる男を呼ぶような女の人の顔を見て酒を飲まなくちゃならないのよ。私はいい。」
「そんな怒るなよ。別にサシじゃないんだからいいだろ?今度はお前と行くから。」
「怒ってない。」
好きな人から、違う女の名前を出された時、多分ほんとうに恋している女の子ならばきっと胸が灼けるように痛くなるはず。
私はまだ銀時のことを好きでいられるらしかった。
「…ごめんなって。」
「…〜〜。」
ほら。今も。
信号待ちで手持ち無沙汰になった銀時の大きな手が私の頭にくる。
無論その部分は暑いわけで。
「暑い!やめて!」
照れ臭いのか単純に暑かったのか。とりあえず私は素直に甘えられなかった。
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ふゆき(プロフ) - 歩く中二病@ごりらーさん» お気遣いありがとうございます。 (2018年8月30日 20時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
歩く中二病@ごりらー(プロフ) - 続き、楽しみにしてます!無理しない程度に頑張ってくださいね (2018年8月30日 20時) (レス) id: c177f1386f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふゆき | 作成日時:2018年8月30日 2時