03:夜、君とテレビと ページ3
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じゃあ、2人で何かをする時の資金にしよう
としげちゃんが持ってきて木箱に封筒を入れてから
３週間
きっとそんなお金使うことはないだろうけど
私の部屋にあるその箱を見るたびに
笑顔になってしまうようになっていた
だけど、当の本人は
一昨日から部屋に来ていない
ベランダから覗いてみようと思ったけれど
どうやらしばらく帰っていないことが
玄関のポストから見て取れたから
待つことにした
そういえば、彼は私に何にも聞かない
何をしているとか、
何歳だとか、私の名前以外
知ろうとしない
私は、しげちゃんの何を知っているだろう
重岡大毅さん。
あの夜の日、満月と共に自己紹介をした名前
歳はきっと私より少し上
……あとは？
私は、私が思うより
彼のことを知らない
やめよう、深いことを考えるのは
テレビをつけると、ドラマがやっていた
久しぶりにテレビ見たな、
しげちゃんのときは見ないから
『……え？』
時間が、止まった気がした
テレビの中に、
しげちゃんがいた
隣で、ガチャガチャと鍵を開ける音がして
帰ってきたことがわかる
なにか、動かなきゃいけないことは
頭ではわかるのに体は動かず
テレビから離れることができないままでいた
「ただいま〜、、」
当たり前のようにベランダから入ってくる彼を見る
強い風が吹いて、カーテンと共に綺麗な黒髪が揺れた
固まっている私を見て、それからテレビを見て
決まりが悪そうな顔をする
バレてしまった、とでもいうように。
『……俳優さん、なの？』
困ったように笑うしげちゃんに問いかける
「…ちゃうよ」
『でも、出てる』
ドラマはいつの間にかエンディングで
エンドロールには確実に“重岡大毅”の名前があった
『教えて』
「……今時スマホでなんでもわかるよ」
『しげちゃんの声で、しげちゃんの口から聞きたい』
そういうと彼は小さく息をついたあと、
静かに窓を閉めた
「俺は、俳優じゃなくて、アイドルやねん」
まるで現実味のない言葉が、
冷たくなって体を駆け回る
そうか、芸能人だから
そうなると全ての行動に合点がいく
テレビを見ようとしなかったのも
週刊誌をチェックしてたのも
「……もう、関わりたくない？」
声を絞り出して言う姿に、切なくなった
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ひのりーる(プロフ) - 完結お疲れ様でした。お話はもちろん、あとがきでの言葉の綴り方もとても好きな作品でした。是非また重岡くんのお話、書いてほしいです！次回作も楽しみにしています。 (2020年8月27日 3時) (
レス) id: 334deb90dd (このIDを非表示/違反報告)
りりぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます。一気見しました！！！！面白かったです。素敵な時間をありがとうございました (2020年8月26日 23時) (レス) id: 27e7a3c71f (このIDを非表示/違反報告)
moana823(プロフ) - 切なくて儚くて、読みいってしまいます。更新楽しみにしてますね！ご自分のペースで頑張ってください^_^。ありがとうございます！ (2020年8月11日 21時) (レス) id: bf4d0388a9 (このIDを非表示/違反報告)
さき - 私もめちゃすきです！まさかれんれんが登場するとは思いませんでした！！次の更新いつまでもまっていますね（笑）更新無理とかしない程度に頑張ってくださいね(誰 (2020年4月21日 12時) (レス) id: c7b55b7198 (このIDを非表示/違反報告)
あい - めっちゃ好きです！頑張ってください！ (2020年2月16日 0時) (レス) id: 962e1b28b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MaKoto | 作成日時：2020年1月20日 18時
