３７愛すべき小競り合いをしよう ページ10
よしのりくん、は私をまっすぐ見つめていた。
「俺、病気やったし。あのままやと死んでたし。
どうせ死ぬなら、町の外で死にたかってん」
それなのに、と彼は呟く。
「なんでモンスターなんか待ってた？
Aはアホみたいに
何も気づかず、幸せになっとけばよかったのに。
もう戻れんのやで、あの町には」
いつかと同じように私のことを”アホ”という彼に
意を決して言い返す。
『あのときこっち見てたのはよしのりくんじゃん！』
「そりゃ知ってる家に起きてる知り合いがおったら見るやろ」
『見られたから待ってたんですけど』
「なに、俺のせいって言いたいん」
『そう、長生きのために人間を辞めた
アホなよしのりくんのせい！』
「俺の病気のこと一番心配しとったのはAなのによう言うわ」
一気に言い合いをしたせいで少しだけ息が上がる。
目の前の彼が、12年間夢に出てきた幼なじみであると
徐々に体が理解してきたのか、
心臓がじんわりと熱を持ってきたのがわかった。
『せっかく久しぶりに会えたのに、なんで喧嘩してるんだろ』
短く息を吐くと、よしのりくんは短く笑った。
「Aのお節介は12年経っても変わってへんな」
『健気なよしのりくんは意地悪な”マサカドくん”に変わっちゃったけどね』
軽口を叩き合う私たちを包む空気は、
いつのまにか重たいものから優しく懐かしいものに変わっていた。
『よしのりくん』
私の声に眉をひそめるマサカドくんはもういなかった。
『モンスターになってからの12年間を、
アホな私に教えてよ』
もうそれやめや、と気まずそうに笑うよしのりくんはゆっくり話し始めた。
自分が逃げた夜、
もともと悪い体が悪化して倒れていたところを
五人のモンスターが拾ってくれたこと。
病気を治す、長生きがしたいという彼の野望を
”モンスターになる”ということで
五人が叶えてくれたこと。
自分は断片的に五人の過去を知っていて
それぞれの求めている人を探す手伝いをしていること。
モンスターになったとは言っても
300年も生きたみんなにとっては
赤子同然で、
羽を納めるときは痛みを伴い、
瞳の色は時間が経たないと元に戻らないこと。
「……俺、怖かった？」
遠慮がちに言う彼に深く頷く。
ごめん、と言う彼にもう怖さを感じなかったけれど、
あと少しだけ擦ってもいいかなと思ったりした。
３８？その色と暖かさの意味をまだ知りたくなかった→←３６嫌い、の影に隠れた君の姿は
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MaKoto（埃）(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。なかったことには絶対したくないし、やっぱり６人を追っていきたい気持ちが自分にもあるので、夢の中だけでも６人を描いていきたいです。もっともっとおもしろいものを書くのでそのときはまた読んでください！ (2月27日 12時) (
レス) id: 7941e71030 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - お疲れ様でした。完結ありがとうございます、彼がずっと大好きで、これからも大好きです。まだ受け入れられないし、私の中では6人でAぇ!groupとしか考えられなくて…。なのでこれからも6人の物語が読みたいです。MaKotoさんの書くお話が大好きです。楽しみにしています (2月27日 11時) (レス) @page40 id: 8e0d3b7125 (このIDを非表示/違反報告)
み - 初めて読みましたが泣ける。生まれ変わってまた6人が会える日が来ると願います。更新楽しみにしてます (12月21日 15時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとうございます🙌🏻小島くんも佐野くんも悲しいです😢これからも更新頑張ってください💪🏻🔥 (8月9日 12時) (レス) @page33 id: 33203d08f7 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとございます😭😭😭小島くん悲しいです😭これからも更新楽しみにしてます！更新ファイトですっ！！！！！！ (5月15日 9時) (レス) @page31 id: dc37ea6a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MaKoto | 作成日時：2022年3月26日 11時
