２８¿ その瞳が見つめてきたもの ページ1
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「俺は、武士になりたかってん」
発した言葉に、目の前の彼女は目を輝かせる。
かっこいい、と言うAに、
300年以上動いている心臓がぎゅっと閉まる感覚がした。
彼女に悟られないように、精一杯笑って見せるけど、
勘の良い彼女の前ではたぶん無駄だ。
「ただ、俺がかっこ悪かったんや」
そう。
俺は武士になるにはとても弱く、狡い男だったのだ。
叔父さんとか、友達のオトンとかが戦で死 んだと聞くたびに、
絶対に死にたくないと、思ってしまっていた。
闘うのはかっこいいけど、死 んで帰ってくるのはちゃうやん、って。
『もしかして、その友達が……アリス？』
「せーかい！よおわかったな」
「そいつ、急に”武士”そのものを悪く言うようになって。
俺みたいなこそこそ武士に憧れてる奴が一番ダサい、とか
まぁそれはほんまのことやからよかったんやけど。
いつからかしんだそいつのオトンのことも悪く言うようになって」
”人のために死ぬなんて、ただの自己満だ”
300年経った今でもはっきりと覚えている言葉。
それは、武士を嫌っていない自分も、頭のどこかで思っていたことだった。
自分が無意識に思考の奥へ収めようとしていた考えを
無理やり出されて、ショックやったんやと思う。
図星をつかれた、みたいなそんな感じ。
「俺はもう、武士にはなれへんのやなぁって思ってたとき
俺、武士になってん」
首を傾げるAに、鞘から刀を出すフリをしながら伝える。
「ごっこ遊びみたいなもんやけど、一人の少女を救ってん」
よくある、絡まれている女の子だった。
遊郭に誘われているのか、お金をたかられているのか。
路地裏の、暗いところで、刀が光ったのが見えた。
激昂した男が、刀を振り上げた瞬間、体が前に出ていた。
武士になれないと思っていた自分が、
初めて誰かのために戦った瞬間だった。
「そんで俺は、木刀で男たちをバキバキ倒して行ったわけや」
闘う演技をしてみせたら、Aは笑いながら拍手を送ってくれた。
『きっとその女の子はタイセーくんのこと忘れなかっただろうね』
Aの言葉にハッとする。
あのとき、少女にも似たようなことを言われた。
”私はきっと死ぬけれど、貴方にこの命を救ってくれたこと、
忘れないと思います”
あの頃の少女が重なって、懐かしい気持ちになってくる。
「…そうやとええなぁ」
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MaKoto（埃）(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。なかったことには絶対したくないし、やっぱり６人を追っていきたい気持ちが自分にもあるので、夢の中だけでも６人を描いていきたいです。もっともっとおもしろいものを書くのでそのときはまた読んでください！ (2月27日 12時) (
レス) id: 7941e71030 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - お疲れ様でした。完結ありがとうございます、彼がずっと大好きで、これからも大好きです。まだ受け入れられないし、私の中では6人でAぇ!groupとしか考えられなくて…。なのでこれからも6人の物語が読みたいです。MaKotoさんの書くお話が大好きです。楽しみにしています (2月27日 11時) (レス) @page40 id: 8e0d3b7125 (このIDを非表示/違反報告)
み - 初めて読みましたが泣ける。生まれ変わってまた6人が会える日が来ると願います。更新楽しみにしてます (12月21日 15時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとうございます🙌🏻小島くんも佐野くんも悲しいです😢これからも更新頑張ってください💪🏻🔥 (8月9日 12時) (レス) @page33 id: 33203d08f7 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとございます😭😭😭小島くん悲しいです😭これからも更新楽しみにしてます！更新ファイトですっ！！！！！！ (5月15日 9時) (レス) @page31 id: dc37ea6a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MaKoto | 作成日時：2022年3月26日 11時
