５０目の前の君が知らない君のような気がして ページ23
セイヤくんとリチャくんは大事そうに箱の蓋を閉めた。
今江さんの中で変わってしまった思い出をしまうようなその動きに
胸が締め付けられる。
いつだったか、彼らは自分たちの片目を”汚れた”と言っていたけれど、
その瞳が映した景色はとても美しかったのだろうと思う。
確かに、300年前の思い出を収めた銀と黄色はくすんでいる。
けどそれは思い出が二人だけの価値になるように、
部外者が勝手に彼らの美しさを語ることがないように、
内側からしか美しさがわからないようになっていたのかもしれない。
すべて、何も知らない子供の妄想でしかないけれど、
なんとなくそうだったらいいなと思った。
彼らの青春は、彼らだけのものであってほしかった。
「ちゃうやん、そんなことはええねん」
六人でいるときの、私たちが知っているセイヤくんに戻った瞬間、
彼はコジケンを指差した。
「お前の話を聞かなあかんねん」
指されたコジケンはへらっと笑って背中を振って、
いまだ出ているボロボロの翼を軽快に揺らした。
「こわれました」
「壊れたって、機械ちゃうんやから……」
呆れるリチャくんに、コジケンは子供みたいに説明する。
「いや、ほんまにね！
帰ろう思て、山から飛んだ瞬間ヘンな方向にしか飛ばんくて。
風なんか一個も吹いとらんのに、風に煽られとるみたいで、
いろーんなとこぶつかって、こんなん。
やからマッサンが見つけてくれたときはどこかわからん木にひっかかっててん。
けど怪我もしてへんから大丈夫！」
それより腹減った、と駄々をこねるコジケンが、
朝食を食べず町に降りたことを思い出す。
ボロボロの翼を嬉しそうに揺らす彼に違和感を覚えながら
一緒に食卓へ移動した。
その夜、いつかのコジケンのように私の部屋に人が入ってきた。
彼は私の頭を一度そっと撫でただけで外へ行ってしまった。
部屋の外で話し声が聞こえるので
寝ぼけた頭のまま聞き耳を立てる。
「＿＿＿くんも察しとるんでしょ？俺が自由に飛べへんくなった理由。
それか、消えてった昔の仲間もおんなじようになってた？」
「……どうやろ」
「あんたは都合が悪くなったらすぐそれやなぁ」
遠くなっていく二人の声に、沈むように眠ってしまった。
５１貴方が抱えたものの明るさは→←４９？これはきっと、青春の起源
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MaKoto（埃）(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。なかったことには絶対したくないし、やっぱり６人を追っていきたい気持ちが自分にもあるので、夢の中だけでも６人を描いていきたいです。もっともっとおもしろいものを書くのでそのときはまた読んでください！ (2月27日 12時) (
レス) id: 7941e71030 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - お疲れ様でした。完結ありがとうございます、彼がずっと大好きで、これからも大好きです。まだ受け入れられないし、私の中では6人でAぇ!groupとしか考えられなくて…。なのでこれからも6人の物語が読みたいです。MaKotoさんの書くお話が大好きです。楽しみにしています (2月27日 11時) (レス) @page40 id: 8e0d3b7125 (このIDを非表示/違反報告)
み - 初めて読みましたが泣ける。生まれ変わってまた6人が会える日が来ると願います。更新楽しみにしてます (12月21日 15時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとうございます🙌🏻小島くんも佐野くんも悲しいです😢これからも更新頑張ってください💪🏻🔥 (8月9日 12時) (レス) @page33 id: 33203d08f7 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとございます😭😭😭小島くん悲しいです😭これからも更新楽しみにしてます！更新ファイトですっ！！！！！！ (5月15日 9時) (レス) @page31 id: dc37ea6a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MaKoto | 作成日時：2022年3月26日 11時
