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「……久しぶり、水上」
「お久しぶりです、河村さん。少し痩せました？」
「そうかもね。ここ数ヵ月は特に、色々背負ってたから」
「……河村さんまで倒れないでくださいよ」
「善処する。散らかってるけど、どうぞ。上がって」
久々に顔を合わせた水上は、前よりも少し少年感が薄れたように見えた。軽い医療道具が入っているのか、肩にかけた鞄をかけ直し、彼は玄関で一礼をして僕の後ろを着いてくる。
リビングに戻ると、まだまだ体は重い筈なのに起き上がっていたAが勢い良く抱きついてきた。抱き締められるとよりその熱さが伝わってきて、「かみさま」と呟く掠れた声が体調の悪さを物語っている。
僕の斜め後ろでは、【A】の正体に気づいたらしい水上が目を見開いてこちらを凝視していた。
水上の視線に気づいたのか、お腹に顔を埋めていたAも顔を上げて、僕の斜め後ろを覗き込む。
「……かみさま……しらないひと……」
「大丈夫。あいつは神様の友達だから」
「なかよし……？」
「そう、仲良し」
無言で水上に視線を送ると、彼はなにかを察したように目を伏せ、テレビでよくプリンスと称されていた笑みを浮かべた。
僅かに腰を折り、Aと目線を合わせるようにして口を開く。「初めまして、僕は水上颯です。今日はAちゃんが元気になれるお手伝いをしに来ました。よろしくね」子どもに慣れている様子が言葉の端々から伝わってきた。
優しげな雰囲気に安心したのか、強張っていたAの表情が僅かに柔らかくなった。小さな手が水上の方へ伸ばされる。
だが、その手は彼に届く前にダランと下がってしまった。
「っA……！」
「河村さん、Aちゃんを早くベッドに」
「でも、布団の方が近くないか……？」
「体のことを考えると今はベッドの方が良いと思います」
気を失ってしまったAを抱き上げて、水上に言われるがまま寝室に運び込む。Aのことは水上に任せて、僕は僕で桶に氷水を作り、タオルを準備する。
今の僕には、こんなことしか出来ない。だとしても、なにもしないよりはましだった。
あのまま倒れたAを茫然と見続けるよりは、大したことじゃなくても、手を動かしている方が精神的に何倍もマシだった。
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阿部葵(プロフ) - 授業中なのに一気読みしてしまった､､、それぐらい面白かったです!! (10月23日 11時) (
レス) @page50 id: 9bdf52cb2f (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 涙とともに語彙力が抜け落ちてしまったんですけどいいお話すぎてめちゃめちゃ泣けました。 素敵なお話ありがとうございました (2022年3月1日 5時) (レス) id: 4d31a55c6b (このIDを非表示/違反報告)
みそら - ほんっっっとにいいお話でした！もう涙が止まらないし、、心臓鷲づかみにされました。素敵なお話ありがとうございました！ (2021年8月13日 3時) (レス) id: b1ecf40e27 (このIDを非表示/違反報告)
百舌鳥(プロフ) - あああ!(泣)なんだよ、涙で前が見えねぇよ!!。こんなことならティッシュじゃなくてハンドタオル準備するんだった!!。､､､誘拐事件のニュースを見ただけでどっちが悪いかを自分も考えなきゃいけない。頭ではわかっても本当に裏側を見る努力を自分はしてなかったんだな (2021年8月3日 21時) (レス) id: 47ce5ea5c1 (このIDを非表示/違反報告)
神ちゃん - 感動すぎて号泣です。今までで、一番良い話でした！泣きすぎて語彙力がなくなってしまいましたが、とりあえず、素敵なお話でした！この作品を書いてくださり、ありがとうございます。 (2021年7月3日 21時) (レス) id: 2fdd422fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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