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「A……」
「やだっ、いかないで！A、かみさまと、ずっといっしょなの！ゆきあそび、いっしょにするっていった！ふたりで、しあわせなるって……うそつき、かみさまのうそつき……っ！」
この場で僕が泣くのはどう考えても違う。分かっているのに、Aの「うそつき」という言葉を聞いて涙が一筋頬を伝ってしまう。
そうだよと、君の神様は神の皮を被った最低な人間なのだと、肯定したいのに。言葉が全て喉元でつっかえて、嗚咽ばかりが飛び出す。
情けなく涙を溢しながら、僕は膝から崩れ落ちる。額を華奢な肩に押し当てると、Aの匂いがした。伊沢が使っているシャンプーの匂いじゃなくて、Aだけが持ってる、太陽のような匂いが。
「……ごめん……かみさま、うそつきで、ごめん……ごめん、A……」
Aの背後で、彼女の両親があり得ないと言いたげに目を見開いている。その眼差しに、怒りや苛立ちの感情が混ざっているように感じるのは、僕の気のせいだろうか。
とうとう警察から強制的にAと引き離され、僕は警察に背中を押されながらパトカーに連行される。―――その時、確かに僕の耳は、ざわめく人垣の中からある言葉をとらえた。
「―――なんかさ、警察の方が悪者に見えない……？」
目を見開いた。周りの音が消えた。どこからその言葉が聞こえたのかは分からない。けれど視線はずっと、声が聞こえてきた方を追いかけていた。
……あぁなるほど、伊沢はこれを狙っていたのか。漸く彼の真意が読めて、思わず口許に笑みが浮かぶ。
つまり彼は、この展開さえも読んでいたということだろう。だからこそ伊沢は僕に【注目を浴びる】ように言ったのだ。
リアガラス越しに見えたAはまだ泣いていた。両親からの手を拒みながら、今にも走りだそうとするのを警察に止められている。神様、神様、神様―――と僕を呼ぶ声が鼓膜を微かに揺らしていた。
分厚い雲の隙間からは、真っ直ぐな一筋の光が、地上に降り注いでいた―――。
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阿部葵(プロフ) - 授業中なのに一気読みしてしまった､､、それぐらい面白かったです!! (10月23日 11時) (
レス) @page50 id: 9bdf52cb2f (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 涙とともに語彙力が抜け落ちてしまったんですけどいいお話すぎてめちゃめちゃ泣けました。 素敵なお話ありがとうございました (2022年3月1日 5時) (レス) id: 4d31a55c6b (このIDを非表示/違反報告)
みそら - ほんっっっとにいいお話でした！もう涙が止まらないし、、心臓鷲づかみにされました。素敵なお話ありがとうございました！ (2021年8月13日 3時) (レス) id: b1ecf40e27 (このIDを非表示/違反報告)
百舌鳥(プロフ) - あああ!(泣)なんだよ、涙で前が見えねぇよ!!。こんなことならティッシュじゃなくてハンドタオル準備するんだった!!。､､､誘拐事件のニュースを見ただけでどっちが悪いかを自分も考えなきゃいけない。頭ではわかっても本当に裏側を見る努力を自分はしてなかったんだな (2021年8月3日 21時) (レス) id: 47ce5ea5c1 (このIDを非表示/違反報告)
神ちゃん - 感動すぎて号泣です。今までで、一番良い話でした！泣きすぎて語彙力がなくなってしまいましたが、とりあえず、素敵なお話でした！この作品を書いてくださり、ありがとうございます。 (2021年7月3日 21時) (レス) id: 2fdd422fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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