□かみさまとさくせん ページ33
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―――窓の外の景色が瞬く間に流れていく。終わりが、近づいている。
僕らが乗っている新幹線は今、北海道から東京に向かっている。隣にはA、正面の座席には腕を組んで眠る伊沢。
ここまでで分かると思うが、僕は彼の提案に乗っていた。伊沢が提示した作戦とやらを遂行するために。
東京に行けば、僕はもうここへ戻ってくることはないだろう。その為、東京に行くまでの一週間を使って、僕は折角買ったアパートを解約したり、持ってはいけないストーブやちゃぶ台を売って、北海道という地から立つ準備を進めていた。
「あら、そう。寂しくなるねぇ」
「短い間でしたが、お世話になりました」
「良いのよ。どうせ老い先短いんだから。私も楽しかったわ」
「おばーちゃんまたねー！」
「またねぇ、Aちゃん」
東京に向かう前日は、Aと一緒に大家さんの元へ挨拶をしに行った。
住人が僕らだけだからか、普段から差し入れをしてくれたり、定期的に気にかけてくれた大家さんには、本当に感謝しかない。犯罪者であることをひた隠しにして、騙していたのが心苦しく感じる程には。
≪へー、自首すんだ≫
「はい」
≪まぁどうせなんか考えがあんだろ？安心しろよ、ちゃんとテレビはっといてやっから。顔写真出たら笑ってやるわ≫
「喜ぶべきなのか悲しむべきなのか」
新幹線の中では、家を出ていく前に「なんかあったら掛けてこいよ」と言って電話番号を書き殴った紙を握らせてくれた、なんだかんだ善人な部分を隠しきれていない清川さんに、伊沢のスマホを使って電話をかけた。
彼は僕の今後のことを聞くと「後悔すんなよ」とだけ最後に呟き、名残惜しさなんて感じさせるまもなく、呆気なく電話を切ってしまう。
本当はもっと長々と話をしたい気持ちもあったが、それさえも、さっぱりしてる彼らしかった。
―――目的地である東京は、やはり雪なんてものは一切降っていなかった。
北海道の寒さに慣れ始めていた体にとって、東京の冬というものはあまり寒く感じない。今までの僕では考えられない変化だった。以前まではあんなにも寒さが苦手だったというのに。
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阿部葵(プロフ) - 授業中なのに一気読みしてしまった､､、それぐらい面白かったです!! (10月23日 11時) (
レス) @page50 id: 9bdf52cb2f (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 涙とともに語彙力が抜け落ちてしまったんですけどいいお話すぎてめちゃめちゃ泣けました。 素敵なお話ありがとうございました (2022年3月1日 5時) (レス) id: 4d31a55c6b (このIDを非表示/違反報告)
みそら - ほんっっっとにいいお話でした！もう涙が止まらないし、、心臓鷲づかみにされました。素敵なお話ありがとうございました！ (2021年8月13日 3時) (レス) id: b1ecf40e27 (このIDを非表示/違反報告)
百舌鳥(プロフ) - あああ!(泣)なんだよ、涙で前が見えねぇよ!!。こんなことならティッシュじゃなくてハンドタオル準備するんだった!!。､､､誘拐事件のニュースを見ただけでどっちが悪いかを自分も考えなきゃいけない。頭ではわかっても本当に裏側を見る努力を自分はしてなかったんだな (2021年8月3日 21時) (レス) id: 47ce5ea5c1 (このIDを非表示/違反報告)
神ちゃん - 感動すぎて号泣です。今までで、一番良い話でした！泣きすぎて語彙力がなくなってしまいましたが、とりあえず、素敵なお話でした！この作品を書いてくださり、ありがとうございます。 (2021年7月3日 21時) (レス) id: 2fdd422fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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