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「……Aは人気者だからな。名前くらい知ってるよ」
「え！A、にんきものなの？！」
「そうだぞー？まさか知らなかったのか？」
「えっ、し、しってたよ？！しってた！」
「ほんとかー？怪しーなー？」
なのに、俺の前に現れたAは一切怖がっていなかった。
寧ろ熱を出して苦しむ男をずっと心配していて、今も毛布からはみ出た手を両手で握って、不安げな眼差しで眉間にシワが寄った顔を見つめている。
これは、あとでちゃんとAから話を聞く必要がありそうだ。本当なら即警察に突き出してやりたい所だが、Aの為にもまぁ、話を聞いたあとでも別に遅くはないだろう。
「まぁ、良いわ。それより風呂入らね？そのまんまだと風邪引くべ」
「っおふろ！はいる！Aはいる！」
「よーしよし。ならちょっと待ってな。冷えピタ持ってくっから」
家にたまたま置いてあった冷えピタの存在を思いだし、それを男の額に貼り付けてから、エアコンの温度もついでに上げておく。
これで暫くは大丈夫だろう。風呂から上がって寒そうだったらもっと厚い布団でも持ってくるか。
倒れた時の衝撃か、ひびの入った眼鏡を机に移動させて、Aの背中を押しながらお風呂場に向かう。
流石に子供の裸で変な妄想をするほど飢えてはいない為、特に気にすることなくAにばんざいしてもらい、服を脱がせていく。
「っ……」
Aがダウンの下に着ていたセーターを脱がせたところで、俺は静かに息を呑んだ。
殆ど消えかかっているが、幼い体に視認できる程にはくっきりと残っている、火傷痕や打撲痕、切り傷の数々。最近のものは無いが、どの傷も長年に渡ってつけられてきたものだろう。
それこそ、半年とかそこらじゃない。一年、いや、数年とか、それくらい。ということは、この右目の傷も。
質問するべきか迷ったが、今聞くべきではないとその疑問は無理矢理飲み込んで、服を脱ぎ終わったAと服を着たまま風呂に入る。上がったら、アイスとか一緒に食べよっかな。
「―――っし、髪乾いたな。A、アイス食べるか？」
「たべる！」
「ならこたつ入ってぬくぬくしときな。取ってくる」
風呂から上がってリュックに詰められていた服を着せてから、早速二本の棒アイスを手にこたつへ戻る。
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阿部葵(プロフ) - 授業中なのに一気読みしてしまった､､、それぐらい面白かったです!! (10月23日 11時) (
レス) @page50 id: 9bdf52cb2f (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 涙とともに語彙力が抜け落ちてしまったんですけどいいお話すぎてめちゃめちゃ泣けました。 素敵なお話ありがとうございました (2022年3月1日 5時) (レス) id: 4d31a55c6b (このIDを非表示/違反報告)
みそら - ほんっっっとにいいお話でした！もう涙が止まらないし、、心臓鷲づかみにされました。素敵なお話ありがとうございました！ (2021年8月13日 3時) (レス) id: b1ecf40e27 (このIDを非表示/違反報告)
百舌鳥(プロフ) - あああ!(泣)なんだよ、涙で前が見えねぇよ!!。こんなことならティッシュじゃなくてハンドタオル準備するんだった!!。､､､誘拐事件のニュースを見ただけでどっちが悪いかを自分も考えなきゃいけない。頭ではわかっても本当に裏側を見る努力を自分はしてなかったんだな (2021年8月3日 21時) (レス) id: 47ce5ea5c1 (このIDを非表示/違反報告)
神ちゃん - 感動すぎて号泣です。今までで、一番良い話でした！泣きすぎて語彙力がなくなってしまいましたが、とりあえず、素敵なお話でした！この作品を書いてくださり、ありがとうございます。 (2021年7月3日 21時) (レス) id: 2fdd422fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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