才能 ｰ special ｰ

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分かりやすくロケマサの体が強ばった。
表情こそ変えていないけど、触れている腕だけでも緊張が伝わってくる。



近くにまで来たヒカルは、ソファーには座らずあたしがいる位置の下にあぐらをかいた。
触れないのもおかしいよなと思うから、怖いけどちょっと話しかけてみる。



｢あ、おかえりヒカル｣


『おん』


｢お疲れ様です！｣


『ロケマサさ、』



こっちを見ず、携帯を弄ったまま彼は続けた。



『今くっついてる女誰のか分かってる？』



ヒカルの重たく冷たい一撃。
2人して思わず俯いてニヤけを堪えた。
他の人だったらきっとまた違った反応だっただろう。
色々あったロケマサだからこそのリアルな言葉。



幸運にもドッキリだということに気づかれてはいない。



｢あ。すいません笑 ゲーム実況見てて盛り上がっちゃいました｣


『別に盛り上がんのはええけど自重しろ』


｢ヒカルも見る？こっち座りなよ｣



少しスペースを開けて、ロケマサとは反対側の位置にお招きしてみる。
だけどそれに対する反応は無い。
肩をトントンしてみても、顔を覗こうとしても一切動かない。



それどころか立ち上がってリビングを出ていってしまった。



寝室に入ってくのが見えたからカメラでは捉えられてると思うんだけど…
予想以上に怒ってるかも。



｢(怒ってる…よね…笑)｣


｢(結構嫌がってたっすね、笑)｣



浮気肯定派だったヒカルがあんなに堂々と威嚇すると思わなかった。
人って変われるもんなんだな。



｢(ネタバラシしてくる)｣


｢(気をつけて笑 なんかあったら呼んでください笑)｣



ロケマサとグータッチを交わして寝室へ向かう。
この瞬間が1番怖いかも。

終.→←＿＿

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