秘密 ページ8
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「すごい濡れてるから、寒いけどとりあえずシャワー浴びてください。俺の服置いとくんで」
「うん」
･･
決まりが悪そうにバスルームから出てきた先輩。
「ゆうと…ふく、ありがと…」
「いえ……ゆっくりして下さい」
「ん…」
何て話したらいいか。傷つけないように。
聞きたい事がいっぱいあるのに。
冷たい雨の空気が二人の静寂を引き立てる。
そっと、真っ直ぐに、話を切り出す。
「先輩何があったんですか」
「えっ…と…買い物の途中で雨降ってきてさ、急いで帰ろうと走ったら転んじゃっ 」
「違う」
動揺して大きく揺れる瞳。
「先輩、本当の事教えてください」
「むりだ、言えない」
「どうして。今の先輩をそんな嘘で納得して放っておけって？それこそ無理ですよ」
「ごめん…」
俯いて申し訳なさそうにする先輩。
「心配なんです……すごく…お願いだから…」
微かに聞こえる小さな声で、ようやく。
「やぶ……薮に…逃げてきた…」
「え？」
「ころされるかと思って…」
衝撃的な言葉に次の言葉を失いかけたけど、冷静に。
「薮さんに殺されそうになった…？」
「俺のせいで…薮を殺人者にしちゃいけない」
「光先輩が何をしたんですか」
「薮の事分かってない。勘違いさせる。怒らせて、ぜんぶ、全部悪いこと」
「光先輩がした事…二人の事、分からないです。でも先輩はいつも薮さんの事考えて、大切にして、いつも嬉しそうに…」
「でも相手に伝わってなきゃダメだから、そんなの独りよがりだって」
口から出るのは自分を責める言葉ばかり。
そんな事聞きたかったんじゃない。
ただ、ずっと心配で。大切な……先輩だから。
「わかりました。もう何も聞きません。その代わり、今日はここにいて下さい」
「えっだめ！帰んないと！帰んないとまた…」
「また？いつもそんなことされてるんですか」
無防備に放り出された手首に視線を配る。
拘束された跡。
咄嗟に手を引き後ろに回す先輩。
気まずそうに逸らす目を捕まえて離さない。
「…わかったよ」
諦めたように下を向いて呟く。
膝を立ておでこを乗せて小さくなる先輩。
寒さか、怖さか、微かに震える先輩の傍に寄り、肩だけをそっと抱いた。
それ以上触れたら崩れてしまいそうで。
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ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます！早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (
レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです！スピンオフ待ってます！ (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆんぴょ | 作成日時：2019年6月7日 11時
