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迎える朝 ページ48






_ちゅ……

モーニングコールは甘いキスから始まった。

ちゅ…ちゅ…

ちょっと、くすぐったいよ。

目を開けて、

「おはよ…ひかる」

そしたら、急に驚いた顔して自分の顔を隠す。

どうしたの?

指の隙間から覗いて。

「きゅんとした…」

「え?」

笑い混じりで聞き返す。

「いまの…っ」

おはようの挨拶がきゅんとしたの?

まったくわかんない。可愛い先輩…じゃなくてひかる。

朝の支度をして、今日は俺の服を着て、一緒に家を出た。

お昼の時間も一緒に過ごす。

他愛もない会話をして、ごはんを食べる。

ずっと手に入れられなかった当たり前の日常の幸せ。


慧と話をしないといけないから、
帰りは別れて、電話をすると言った。


♪♪♪♪♪♪

『なに』

「話があって、今日会えないかな」

『いいよ』

「ありがとう。そっちの方行くから場所教えて」

『わかった』


感情を読み取ることの出来ない無表情な声。


慧が指定したカフェへ行く。

しばらくすると、取引相手に会うみたいな
スマートな笑顔をこちらに向けやって来た。

「どうした?」

「まずは1つごめんなさい。慧を傷つけてしまって」

「何の事?」

「いや、慧が俺の事、」
「そう言えばさ」

話の途中で喋り出す慧。

「聞いて」

「なに」

「俺、やっぱり先輩を諦められない。先輩の事がすごく好きで大切なんだ」

「ああぁ〜」

大きな背もたれの浅いソファに頭を乗せて上を向く。

「ごめん…だから」

「んー!」

顔をしかめて叫んだと思うと、ぽんと立ち上がる。

「謝んなよ、自分で決めたんだろ」

「うん。でも、ごめん。慧の気持ちに応えられなくて」

「うるせぇ、あんなの嘘だよ嘘」

ふざけて言ってみせる慧。

俺のよく知る慧だ。

この間の怖い慧はどこへ行ったの?

「俺言っとくけど、女も男もいるからな。お前なんか居なくてもいいんだわ」

上から目線の自慢しいの
いつもの慧だ。

「そっ…か。ありがとう」

ありがとうっておかしいけど、

慧は自分の気持ちを隠してるんじゃないかって思ったから、

お礼だけ伝えた。

「あ?まぁ…ごめんな…俺、本当に裕翔の事好きだから。気づいたよ、大切な人にどうしたらいいか」

呆れた笑顔でこちらを見る。

「慧…」

綺麗に笑ってみせる慧の姿に自然と涙が出た。

「あほ、泣くな。男前が台無しだろ」

肘で俺の腕をうりうりして、手持ちの小さい鞄を持って颯爽と出ていく。


ありがとう、慧。






_→←幸せな時間



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ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです!スピンオフ待ってます! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆんぴょ | 作成日時:2019年6月7日 11時

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