検索窓
今日:22 hit、昨日:4 hit、合計:28,671 hit

お幸せに ページ45






それから会社で会っても先輩は俺のことをいっさい見てくれない。

よかった。

先輩が嫌ってくれれば、俺も踏ん切りがつけられる。

先輩を傷つけた罪は消えないけれど、
誰か他の人と幸せになって下さい。



もう悩む事はないと思って帰路に着く。

誰もいない近くの公園のベンチで休んでいると、
薮さんがやってきた。

「お疲れ様です。隣、いいですか?」

「あ、どうぞ…」

薮さんはどこまで知ってるんだろう。どんな気持ちでいるんだろう。
考えていると、突然切り出された。

「分かってると思いますけど、俺は光と付き合ってて別れてます」

「あ、はい」

「光は、好きってなったら、止まらなくて、俺も光が大切だったんです」

「はい」

そうだ。だから、あんなに俺に…

「でもあんなだからすごく危なっかしくて、心配で、心配からいつしか束縛に変わってたんですよね」

「はい」

「気づいたら暴力…振るってて、何回も…でも一途に好きでいてくれるから、甘えてたんです」

「はい」

先輩は夢中になると盲目になる所がある。

「でもダメですね。もうそんなの愛じゃない。気づいたら光を取られていた」

「…」

「中島さん」

「はい」

「わかりますか?」

「はい…ごめんなさい…」

「いえ、そうじゃなくて」


「光を幸せにしてあげてください」

え?どうして。

「ごめんなさいっ、出来ないんです」

「どうして?」

「俺は、先輩に最低の事をしました…それに、守らないといけない人がいて、先輩を巻き込んじゃいけない…」

「なんですかそれ。中島さんのことは分からないですけど、そんなのどうでもいい事です。光が好きじゃないんですか?」

そうだ俺の都合なんかどうでもいい。
けど、俺は先輩を幸せに出来ない。

「好きです…すごく、すごく、全て捧げたいくらい、すべて投げ出してもいいくらい…だから俺とは一緒になっちゃいけない…」

「ありがとう。光のことそんなに思ってくれて」

「やめてください。お礼を言われるような事は何も出来てないです」

「いいえ、充分ですよ。だから、光のことお願いします」

「ダメです。こんな事言うの筋違いかもしれないですけど、薮さん…もう1回幸せにしてあげてください…」

「無理ですね。光の事もう嫌いなんで」

「え…?」

驚いて薮さんを見る。

「ふふ…嘘ですよ、でも、もういいんです。きっと光はあなたを待ってますよ。今ならまだ間に合うんじゃないですか?」






決意→←愛してる



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (129 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです!スピンオフ待ってます! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆんぴょ | 作成日時:2019年6月7日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。